3Dプリンターの人工骨が頭蓋冠骨の骨再生に有効
2019.05.22
国際部
3Dプリンターで作製された「超弾性骨(Hyperelastic Bone)」の骨再生促進作用が優れていたという試験結果が5月1日、「Plastic and Reconstructive Surgery」オンラインに掲載された。
降鼻術などにも用いられるようになった自家骨移植だが、ドナー部位の利用可能性には限界がある。市販の代用骨や同種移植片は入手可能ではあるが、臨床転帰に優れ、広く使用されているものはまだないようである。無数の市販の代用骨および同種移植片が入手可能であるが、劣った臨床転帰のために広く使用されている製品はまだない。
今回、3Dプリンターで作製した「超弾性骨」を用いた頭蓋顔面骨の再生を評価した。超弾性骨はヒドロキシアパタイト90%とポリ(乳酸–コ–グリコール酸)10%で構成されており、頭蓋・顔面再建術に多い不規則な三次元欠損にも対応できる。成体雄ラットの8ミリメートル頭蓋冠欠損に対して「超弾性骨」、3Dプリンターで作製したハイドロキシアパタイトを含まないFluffy(乳酸–コ–グリコール酸)骨、自家骨(対照)、未処理(対照)の4つの試験を行った。コーンビームコンピューター断層撮影法、マイクロコンピューター断層撮影法および組織学により、標本の新生骨形成を分析した。その結果、8週および12週の「超弾性骨」を用いた場合の石灰化骨量対全組織量の割合は、自家骨移植に対して74.2%だった。Fluffyポリ骨にはほとんど骨形成が見られなかった。