【連載】化粧品・美容各社の業績と企業買収③化粧品・美容各社の業績と企業買収 ~花王、前期の化粧品売上6210億円に~

2019.10.9

特集

編集部

花王の化粧品事業は、コンシューマープロダクツ事業が行っている。コンシューマープロダクツ事業は、化粧品事業、スキンケア・ヘアケア事業、ヒューマンヘルスケア事業、ファブリック&ホームケア事業を総称したもの。このうち化粧品事業を行っているのが化粧品事業とスキンケア・ヘアケア事業の2事業である。

前期(2018年12月期)における化粧品事業は、重点戦略ブランドを決め、選択と集中を進めるとともに、消費者の購買行動の変化に対応してデジタルマーケティングの強化を図った。中でもデパートチャネルで展開しているカウンセリング化粧品やセルフ化粧品が好調に推移。また、海外では、中国を中心に売り上げが大きく伸長した。この結果、同期における化粧品事業の売り上げは、前期比5%増の2796億円に達した。

スキンケア・ヘアケア事業は、主力のスキンケア製品「ビオレ」が日本、アジアで順調に売り上げを伸ばしたが、米国市場で競合品の激しい攻勢を受けた。
ヘアケア製品は、日本国内で次世代型の白髪ケアブランドを立ち上げ好調に推移した。半面、シャンプー・リンスは、拡大するプレミアム市場への対応が遅れたことやマス市場の縮小が影響して売り上げは前期を下回った。この結果、同期におけるスキンケア・ヘアケア事業の売り上げは、前期比2.6%増の3414億円となった。
これにより、2018年12月期の化粧品事業とスキンケア・ヘアケア事業の2事業合わせた化粧品売上は6210億円にのぼる。

2019年12月期の化粧品事業業績予想は、G11やR8の重点戦略ブランドをより強化していくとともに独自の技術を活かした商品の高付加価値化に取り組む。一方で、重点ブランドを明確にして一つ一つのブランドを磨き上げ、伸長しているEコマースやトラベルリテールチャネルを強化して戦略的なブランドポートフォリオを構築する。また好調な中国を中心にアジアの一層の強化を図る計画。これらの施策により、化粧品事業の売上高は、2900億円を見込んでいる。
スキンケア・ヘアケア事業については、消費者の価値観や生活習慣の変化を見極めながら、商品の高付加価値化を進める。

スキンケア製品については、ミクロレベルの隙間まで塗りムラを防ぐ世界初の処方を採用したUVケア商品を「ビオレ」から発売。また、欧米の事業では「モノづくり」の体制を強化するため組織を再編し、事業の立て直しを図る。さらに、消費者の購買行動の変化に合わせたマーケティング活動や売り方の改革等も推進する方針。

以上により、スキンケア・ヘアケア事業の売上高は、3570億円を見込む。この結果、化粧品事業とスキンケア・ヘアケア事業合わせた化粧品売上は、2018年12月期比260億円増の6470億円に上る見込み。

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