皮脂RNA情報の発現と機械学習で肌老化の進行程度を推定 花王、予見可能性を発表

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2021.08.16

編集部

花王株式会社(東京都中央区/代表取締役社長執行役員:長谷部佳宏)生物科学研究所は8月16日、加齢に伴って変動する皮脂RNA(リボ核酸)の発現情報と機械学習を組み合わせることで「生物学的年齢」を算出し、個々人で異なる肌老化の進行程度を推定できる可能性を見いだしたと発表した。

今回、同研究所は、20~59歳の女性113名を対象に、暦年齢と関連の強い368種類のRNAについてエンリッチメント解析※1を行った。

その結果、加齢に伴って発現パターンが変化する皮脂RNAには、炎症や細胞死、細胞老化や表皮分化など、老化に関連する機能を担うものが多く含まれていることが明らかとなった。

それらの結果から同研究所は、皮脂RNAを用いてヒトの体の老化程度を推定できるのではないかという結論を出した。

そこで、同じ対象者で、加齢に伴って変動する368種類の皮脂RNAの発現量を用いて暦年齢を予測する機械学習モデルの構築と検証を行なった※2ところ、皮脂RNAによる予測値と暦年齢には高い相関がみられた(図1)。

しかしその一方で、同じ年代の中でも予測値が高い人と低い人が存在した。このことから、予測値は個々人の老化程度の違いが反映された生物学的年齢を示している可能性があると考えた。

※1:着目した複数の遺伝子の中に、特定の機能を共通して担う遺伝子がどの程度濃縮されているか解析する手法。

※2:113名を機械学習モデル作成58名と機械学習モデル検証55名に分割。

そのうえで同研究所は、機械学習モデルから算出された年齢を生物学的年齢と定義し、肌の老化指標として妥当性があるかの評価を行った。

その結果、生物学的年齢が相対的に高い人(4名)は、目尻の肌の表面が粗く(しわが多く、深い)、目もとの肌の弾力性が低く、口もとの肌の糖化が進んでいることが確認できた(図2)。

これにより、生物学的年齢が相対的に高い人は、肌が老化している傾向にあることが示され、今回作成した皮脂RNAに基づく生物学的年齢が、肌の老化指標として妥当であるとの考えに至った。

同研究所はこの研究のまとめとして、「皮脂RNAから、肌の老化程度を反映する生物学的年齢情報を取得できる可能性が示されました」とし、「今後、さらに皮脂RNAのデータを蓄積することで、生物学的年齢の推定精度を向上させ、個々人の老化の進行程度の理解とそれに合わせた体や肌へのアプローチに向けた応用を目指します」と述べた。

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