長期の失業で細胞レベルの老化が進む
2013.11.28
編集部
2年以上失業している男性は、DNAの老化が始まるのが早いことが新しい研究でわかった。
英国ロンドン大学インペリアルカレッジとフィンランドのオウル大学の研究者らが、1966年にフィンランドで生まれた5,620人の男女からのDNAサンプルを分析。染色体の末端で遺伝コードを保護する役割を持ち、生物学的老化を示すテロメアの長さを比較した結果、1997年の31歳時に採取された血液細胞サンプルから、直近3年のうち2年以上失業していた男性のテロメアが短い確率は、継続して雇用されていた男性と比べ2倍となっていた。この傾向は女性では見られず、長期の失業が男性にのみ有害であるかどうかは今後の研究課題という。
短いテロメアは老化のマーカーのみならず、2型糖尿病や心臓病のような加齢と関係が深い疾患のリスクが高い。研究者らは、「過去、病気と長期的な失業の関係を調査した研究は多く見られたが、今回は細胞レベルでの関係を調査した最初の研究である。これらの知見は、成人の長期失業の影響に懸念を引き起こし、雇用の維持は社会単位の健康増進の重要な一部と考えられる」と述べている。
研究結果はオープンアクセスの科学雑誌「Plos One」の20日号に掲載された。