連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【8】セブン‐イレブン、PB化粧品の売る仕掛け・仕組み求められる(下)
2014.12.25
編集部
セブン‐イレブンがPB化粧品の開発でこだわったのが無添加コスメ。添加物不使用化粧品という概念を打ち出し、肌が求める化粧原料や使い心地にこだわったファンケルの無添加処方に白羽の矢を当てて共同開発者に選んだ。「合従連衡を組んで共同開発する企業としてファンケル以外、考えなかった」(セブン&アイ・ホールディングス)という。
しかし、セブン‐イレブンが化粧品の開発・販売で化粧品メーカーと共同戦線を張ったのは、ファンケルのケースが初めてではない。2004年4月にセブン-イレブン・ジャパンがコーセーと共同企画で、シミ・そばかすに対応した和漢植物エキス配合の美白スキンケア化粧品「雪肌粋(せっきすい)」を開発・全国のセブン‐イレブン店で販売。さらには、2008年3月にコーセーとの共同企画で、高保湿スキンケア化粧品「潤肌粋(じゅんきすい)」(5種5品)を開発しセブン‐イレブンのルートで販売するなど前例がある。
現在でもセブン‐イレブンのコンビニ店で雪肌粋を販売(写真)しているが10年経っても多くの消費者から支持を得て売れ行きが良い。海外観光客が訪れる一部のコンビニ店では、爆買いの対象品になっているほどだ。
化粧品メーカーにとって化粧品の販売チャネルを構築する上で、化粧品専門店や百貨店、ドラッグストア、スーパーマーケットなどと並んでコンビニルートの確立は、販売戦略上、重要な意味を持つ。経産省調査による2013年度小売業の業態別売上高は、百貨店6兆800億円(前年度比0.7%増)、スーパー13兆580億円(同0.2%増)、コンビニ9兆8000億円(同4.2%増)とコンビニ業界の売上伸長が10年連続、右肩上がりの状態にある。
こうしたコンビニ業界の好調な売上は、化粧品各社にとって重要な販売拠点になるだけに合従連衡への期待は高い。また、コンビニ各社にとっても市場の拡大が続いているとはいえ、新商品の投入やサービス面での競争が一段と激しくなっている。特に、女性の社会進出で就労女性中心に、コンビニで化粧品を買うケースが顕著。女性のニーズが高い美白や保湿性の高いPB化粧品を開発して店頭で販売すれば収益向上に繋がるとの判断が働くのは至極自然な道理である。
しかし、単に店頭に陳列しておけば売れるというものではない。今後、コンビニでの売れるPB化粧品として拍車をかけていくためには、売る仕掛けや売る仕組みが一段と求められる。
ともあれ、セブン‐イレブンとファンケルのPB化粧品での合従連衡の動きは、化粧品メーカーと流通分野の小売業が提携して協働事業する新たな潮流として注目される。今後、こうした合従連衡の動きが波及していくのは必死だ。