【連載】化粧品各社のイノベーション研究【11】シャンソン化粧品③~リポソーム技術を化粧品開発に応用~
2016.02.3
編集部
株式会社シャンソン化粧品は、化粧品のOEM事業にも乗り出している。OEM事業は、今から約25年前に株式会社バンダイ向け薬用リップクリーム(医薬部外品)を提供したことに端を発する。
株式会社バンダイとの取り組みは、メークアップ品目にまで及び「キッズコスメ」という新たな市場を創出した。また、薬事法の改正に伴なって化粧品のアウトソーシングが業界全体で加速したこともあり、同社が元来、得意とする成人女性向けOEMにも積極的に食指を伸ばし、クライアントの拡大に繋げた。
最近では、植物に代表される天然由来成分や有機栽培のオーガニック成分にこだわった処方を増やすなど、ユーザーニーズに応えている。
自社オリジナル化粧品やOEM化粧品の社内開発体制は、自社ブランドとOEM商材の処方開発を研究開発部が担当。
また、自社ブランドとOEM商材の検査と品質管理は、品質管理部が担当しており、製品の「安全性、安定性、独創性」に力を入れて商品開発を行っている。
同社の化粧品開発で最も得意とする技術が、リポソームと呼ぶナノテクノロジー(超微細化技術)技術の応用。
リポソームは、有効成分をナノサイズの乳化粒子に内包した「ナノソーム」(登録商標)処方で、角質層への浸透などに優れる。
同社の中軸商品「シャンソニエ」(写真左)と「セルキス」(同右)の両シリーズには、ホワイトニング、リンクル、モイスチャーの3種類のナノソームを配合するなど代表的な商品となっている。
漢方や生薬配合の化粧品開発も注目される。同社は、1980年に販売した「ルミネスク」シリーズに国内初の「紅高麗人参」のエキスを配合し、和漢スキンケアの先駆けとなった。
この和漢植物をスキンケアに応用する取り組みは、2015年2月にリニュアールして市場に投入した「ルミネージュ」シリーズにも受け継がれた。
「ルミネージュ」は、ハトムギ種子、デイリリーの花、ハス種子の3種類の植物エキスを発酵させることにより自然治癒力を高めた。今後、原材料の確保について同社は「関連法規を含めて柔軟に対応して行きたい」としている。
海外展開も加速する。現在、台湾、シンガポール、ロシアで化粧品販売を行っているが、今後は中国、中近東なども視野に入れて進出を検討し、具現化する方針。
1982年にヘルシーフード分野に進出し、1985年に市場投入した「16茶」がロングセラー商品となるなどヒット商品を抱える。しかし、総売上高や化粧品の売上比率などについては、具体的なコメントは控えている。