【連載】化粧品各社のイノベーション研究【22】ロート製薬③ ~化粧品メーカーに変貌、ドラッグストア中心に攻勢~
2016.04.26
編集部
ロート製薬は、幹細胞の遊走(移動)を促進し、幹細胞自体を増殖させる素材(成分)「ステムSコンプレックス」を開発した。ステムSコンプレックスは、カプロオイルテトラペプチド-3、トリペプチド-1銅、コラーゲンの3種類の素材を組み合わせた新保湿成分。再生医療研究での過程から得られた知見を応用して開発した。
ステムSコンプレックスの特徴は、脂肪由来幹細胞の移動を促進して増殖。同時に、加齢で弱ったコラーゲン線維を増強する作用がある。同社は、脂肪由来間葉系幹細胞の皮膚での働きについて研究を行う中で、脂肪由来幹細胞が線維芽細胞と同様にコラーゲン線維を形成することを解明。同時に、脂肪由来間葉系幹細胞の遊走(移動)を促進することを試験で実証した。
同社では、この再生医療から生まれた新成分「ステムSコンプレックス」を配合して商品化を図ったエピステームブランドの「ステムサイエンスシリーズ」を国内の大手百貨店ルート(写真)に乗せて販売している。
現在、ステムサイエンスをはじめ肌ラボ、オバジ、エピステーム、メンソレータム及び新ブランドのスフレファンデ「SUGAO」、次世代型洗浄剤「ケアセラ」など400品目を国内市場に投入。ステムサイエンスを除いて、主にドラッグストア、コンビニなどで販売している。
同社の2015年3月期における総売上高1517億7400万円に占めるスキンケア商品(化粧品、医薬部外品等)の売上比率は67%にのぼる。また、同期における国内と海外の売上構成比率は、国内約59.5%、海外約40.5%となっている。
現在、化粧品の海外展開は、アジア、欧州、米国などに設立したメンソレータム社を中心とした21の現地法人が代理店を介して、ファーマシーやドラッグストア中心に販売している。
この中で、海外事業を牽引しているのが中国、台湾、ベトナム・インドネシアなどのアジア市場。
中国市場とベトナム、インドネシアなどのASEAN市場は、1996年にメンソレータム社が中国・広東省で「新Vロートプラス」の生産、販売を開始。以降、2010年1月に上海、杭州、天津などの百貨店内ブースで、主力スキンケア商品の「オバジ」「肌ラボ」「エピステーム」などを販売。また、BBクリームなど低価格品を中心として主にドラッグストアや薬局ルートに乗せて拡販に打って出るなど、2局路線で拡販を図っている。
現在、世界110ヵ国以上でネットワーク網を構築しているが、今後、時空を超えたネットワーク網の確立をさらに図る考え。今後、海外での化粧品売上比率は、さらに高まって行くのは必至の見通し。