【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【28】アーダン② ~経営革新認定 海外展開・医療分野強化、上場も計画~

2016.11.8

特集

編集部

アーダンは会社創業以来、 国内産シルクを原料にしたシルク化粧品を製造販売してきたが、他メーカーでも同様のシルク化粧品を販売するようになったことや生産体制の強化が必要になったこと、また、Web販売に加えて卸売販売で顧客層は広がったものの、顧客ひとりひとりのニーズを把握する難しさに直面するなどの課題を抱えていた。

これらの課題を解決して更に飛躍するため、2012年7月に国の経営革新法に基づく「経営革新事業」に認定され、事業の進め方を全面的に見直した。

3年間の事業認定期間、政府系金融機関による低利融資や補助金等を活用し、工場の新設による生産のオートメーション化や現在の主要販路である百貨店催事販売やテレビショッピングに加えて、「くまもと大学連携インキュベータ」施設内にコールセンターを設置し、自社広告によるテレビ通販に乗り出すなど刷新を図った。

海外展開などグローバル化にも拍車がかかっている。今年4月からフランスの大手テレビ局「TF1」の通販番組で「シルクフィブロ」シリーズが日本製化粧品として初めて販売された。昨年9月からカタログ掲載や店舗販売に続く販売強化策。

同社は、フランスのリヨンに現地法人「アーダンフランス」を設立(2013年)。パリで開かれる化粧品展示会に3年連続で出展したほか、化粧品の販売許可申請を行い、百貨店などで地道な営業活動を重ねてきた。

「シルクロードが国境を越えて東西をつなぐ交易ルートであったようにシルクには国境はない。シルクという世界の素材と独自製法を駆使することで、世界中のどこの市場へも切り込んでいける。まさに絹が結ぶ縁が当社を支えている」と説く。最近では、中近東にまで商圏が広がるなど、国際化がさらに進展する状況にある。

一方、絹は、手術用縫合糸としてその整体適合性から長年医療の現場で使われてきた。現在では、再生医療の材料として注目されている。人工血管などの研究開発も進み、実用段階までもう一歩というところまできている。また、角膜再生などへの応用研究も進められているなどシルクの医療分野への応用研究は高い。

同社は、シルクが傷を治し医療に応用する力があるという研究結果に着目して、将来、医療分野へ本格進出する計画だ。現在、鹿児島大と連携してバイオマテリアルの研究開発を進めるなど布石を打っている状況にある。

同社の事業規模は、2016年で社員数約46人、売り上げは約5億円にのぼるとみられている。同社は、国内の株式市場に上場する考えがあることを表明しており事業の成長軌跡に期待が高まる。

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