飲酒が食欲を増進させる原理を解明
2017.01.18
国際部
アルコールが脳を「飢餓モード」にする過程が解明されたという研究報告が1月11日、英国国民保健サービス(National Health Service:NHS)サイトに掲載された。研究の詳細は「Nature Communications」オンラインサイトに掲載されている。
身体の制御システムは、摂取したカロリーを感知して空腹を感じ内容にしている。しかし、アルコールはカロリーが高いにもかかわらず、飲酒時に食欲が増すことは研究者らを長い間悩ませていた。アルコールはカロリー密度の点で脂肪に次ぐ2番目の食品である。
Francis Crick Instituteとロンドン大学の共同によるマウスを使った研究では、アルコールが食欲調節に関与している脳細胞のひとつ、アグーチ関連ペプチド細胞(AGRP細胞)の活性を増加させることがわかった。アルコールを与えた日(ヒトに換算してワインボトル半分量低度)にはマウスは10~15%増しの食物を摂取したが、アルコールを止めると通常の食欲レベルに戻った。マウスのAGRP細胞を人工的にブロックすると、アルコールを与えられてもたくさん食べることはなかった。
研究者らは、マウスの実験結果がそのまま人間に当てはまるとは限らないとしながら、AGRP脳細胞のアルコール関連活性が「アルコール誘発性過食症の重要な段階」であることを示唆している。