【連載】創業100年・老舗化粧品会社の研究②柳屋本店(上)~育毛剤を中国市場で販売開始~
2017.05.30
編集部
株式会社柳屋本店(東京都中央区)は、1615年(元和元年)に創業した国内で一番歴史のある化粧品メーカー。2015年に創業400年を迎え、次代に向けて新たなスタートをきっている。
現在、国内販売は、販売代理店を通じて一般流通市場(ドラッグストア、スーパー、ホームセンター等)向けに販売している。
現在、市場に投入している化粧品の総アイテム数は、育毛剤やポマードなど整髪料を中心に104アイテム(OEM、専売品、サロン流通品、増量品等は除く)にのぼる。また、輸出は、海外市場に強い商社を通じて、東南アジアや米国など20ヵ国以上に輸出している。
こうした中、次代を象徴する動きとして2017年3月から中国国内で育毛剤「柳屋ヘアトニックEX」(写真)の販売を始めた。
中国国内での製造・販売に関わる認証機関「中国国家食品薬品監督管理総局」(CFDA)から輸入化粧品衛生許可証が下りたことから、代理店を介して中国国内の小売店向けに販売を始めたもの。
中国国内で販売を始めた柳屋ヘアトニックEXは、今から65年前の1952年から日本国内で発売しているロングセラーブランドの育毛剤「柳屋ヘアトニック」を中国の法規に準じてパッケージデザインした。
「柳屋ヘアトニック」の特徴は、3種の薬効成分と生薬抽出成分が毛根に浸透し、抜け毛を防いで発毛を促進する。また、爽快な清涼感が頭皮に持続し、抜け毛の原因となるフケ・かゆみを防止し頭皮を清潔に保つ。1952年に国内発売して以来、家庭や銭湯などに置いて、広く消費者に受け入れられてきた。
同社が今度、中国に進出したのは、ジャパンブランドの化粧品販売が増加していることや中国市場での育毛剤・ヘアトニック等の需要が大きいと判断した。
これまで同社は、1965年に台湾で合弁会社を設立し、現地で「柳屋ポマード」と「柳屋ヘアトニック」の製造を始めている。当時の台湾での販売先は、小売店ではなく理髪店が中心だった。
同社が今度、中国国内で本格的に育毛剤販売に乗り出したのは、次代をにらんで、グローバル化に一段と弾みをつけ国際化を加速化する狙い。同社の中国進出が化粧品事業全体にどの程度、寄与していくか、今後の展開が注目される。