【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[4] ノエビア、今期化粧品売上高322億円見込む
2013.07.11
編集部
ノエビア、今期化粧品売上高322億円見込む
ノエビアホールディングス(HD)は、2011年9月に持ち株会社に移行し、現在、化粧品の製造・販売子会社、株式会社ノエビアや医薬事業を行う常盤薬品工業(2004年子会社化)など国内5社と台湾、中国など海外8社の計13社を傘下にグループを形成。現在、化粧品販売は、カウンセリング販売中心にノエビアが担当、ドラッグストアなど店頭を中心としたセルフ販売を常盤薬品工業が担当する両輪で事業を推進している。
特筆されるのは、1978年から化粧品事業に本格進出以降、全国に訪販ネットの構築に乗り出し、現在では、販売会社約600社、ビューティ・マスターと称する化粧品販売店(販売代理店)5,500店、個人販売員(ビューティープランナー)16万人にのぼる訪販の一大橋頭堡を確立した。
販売会社や販売代理店が開設した対面販売形式の美容サロン「ノエビアビューティスタジオ」は、今年3月末で1,302店にのぼる。また、2007年から美容レッスンや顧客サービスの直営店展開に乗り出し、「ノエビアスタイル ショップ」(画像)を今年7月で首都圏中心に11店舗開設した。
一方、常盤薬品工業は、皮膚科医と共同開発し、全国80の大学病院の皮膚科医が推奨するセルフ販売の低刺激性化粧品「ノブ」を地域限定のドラッグストアで販売するなどトップブランドに賭ける意気込みは大きい。
子会社2社を両輪とする化粧品の収益拡大策として今期(2013月9期)、美容サロンを期末までに現行の約1,300店から1,400店に増やすとともに直営店を年内に1店舗開設し計12店舗とする。また、「ノブ」ブランドの拡販を図るため、今年7月から電子商取引を始めた。さらに、1本10万円する薬用クリームを膚に浸透度を高めるなどの刷新を図って7月から市場投入した。
海外事業については、スキンケアをはじめメイクアップやヘアケア、トイレタリーなど機能性の高い商品を米国、カナダ、中国、台湾、代理店のある韓国などで展開中。特に、2007年に進出した中国市場では、ここへきて富裕層を対象とした販促会の開催や顧客の取り込み、取扱店を増やすなどの攻略に打って出ている。
こうした一連の収益拡大策によって今期の化粧品売上高は、322億円、全売上高480億円(計画)に占める構成比が約68.2%(前期62.8%)にのぼる見通し。
同社では、化粧品事業の基本スタンスとして「当社と委託販売契約を交わしている販社、代理店、販売員との取引関係を大切にしながらカウンセリングによる対面販売に引き続き力を入れる。販売代理店が美容知識や技術、接客力を学ぶ環境を整え合わせてサロンでのスキンケアやメイクアップといった各種ビューティレッスンを開催するなどして国内需要を掘り起こし、新規顧客の獲得に繋げて行く。今後とも、国内重視の姿勢で臨んで行きたい」(経営企画部)としている。
一方、遺伝子研究による化粧品開発も注目される。すでにノエビアの研究開発本部と常盤薬品工業の開発研究所を統合再編(2013年4月)してノエビア滋賀研究所に5つの研究開発グループを配置した。遺伝子研究は、成長ホルモン、長寿、美白、目もとの4つに視点を当て新たな化粧品開発に繋げる。
同社を含む化粧品各社にとって遺伝子レベルの技術術開発は、ヒトゲノム(遺伝子塩基配列) 解析が進む中で今後、新たなビジネス創出と事業の成長を占う重要なカギとなろう。