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(63)山田養蜂場の会社研究 ~蜂蜜の保湿作用、メラニン抑制を実証~(下)

山田養蜂場は、みつばち健康科学研究所で、はちみつの保湿作用とシミ、そばかすの原因となるメラニンの産生を抑制することを実証試験で明らかにした。
同研究所は2006年5月に創設。現在、研究員は約22名。国内の大学や海外の研究機関とネットワークを組み共同研究に取り組んでいる。
同研究所で行ったはちみつの保湿作用に関わる試験では、乾燥環境下におけるはちみつの保湿作用を一般的な保湿剤(グリセリン)と比較しておこなった。
アカシアはちみつを50%含む水溶液(はちみつ水溶液)とグリセリンを50%含む水溶液(グリセリン水溶液)及び水をそれぞれ温度35℃、湿度40%に24時間放置し、溶液の残存率(水の蒸散を防いだ率)を比較した。その結果、はちみつ水溶液が水と比較して有意に残存率が高く、グリセリン水溶液と同程度のレベルを示した。
このことから蜂蜜には、グリセリンと同程度の水分を保つ作用があることを実証した。図にはちみつの保湿データを示す。

一方、はちみつに、シミやそばかすの原因であるメラニンの産生抑制作用やメラニンの産生に関与しているチロシナーゼという酵素の活性阻害作用を調べた。
メラニン産生抑制率は、B16メラノーマ細胞という常にメラニンを産生し続けている細胞にアカシアはちみつを添加してメラニン産生量を測定し、無添加のものと比較して評価した。また、チロシナーゼ活性阻害率は、B16メラノーマ細胞にメラニン産生の基となるL-DOPAとアカシアはちみつを添加してL-DOPAとチロシナーゼとの反応性を測定、無添加のものと比較して評価した。その結果、アカシアはちみつは、メラニン産生抑制作用およびチロシナーゼ活性阻害作用に対して濃度依存的に効果を示した。

一方、同研究所では、メラニンを産生するマウスの培養細胞にグネチンC(ポリフェノールの一種でブドウなどに含まれる抗酸化物質)と同量のトランス-レスベラトロール(ポリフェノールの一種で、サンタベリーやブドウ、ピーナッツの渋皮などに含まれている)を加えて3日間培養した後、メラニンの産生量を細胞の色の濃さで評価した。
その結果、グネチンCを加えた細胞の色が最も薄くなるなどメラニン産生が抑えられていることが判明した。
このことから、グネチンCは、トランスレスベラトロールやコウジ酸(麹から発見された化合物)よりも強いチロシナーゼ阻害効果を持つことが実証された。
同研究所は、化粧品、皮膚科学等の研究カテゴリーを強化しており、はちみつ処方の新化粧品開発に一段と力を入れる方針。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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