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糸リフトの費用と効果|美容医療で高まる需要

※本記事は、美容および医療に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・処方を推奨するものではありません。掲載された内容は、信頼性の高い情報に基づいて執筆されていますが、すべての症状や体質に当てはまるとは限りません。治療や処置をご検討の際は、必ず医師の診察・指導を受けたうえでご判断ください。また、医薬品や医療機器の使用に関する詳細については、厚生労働省のガイドラインや各製品の添付文書をご確認のうえ、専門家の指導に従ってください。掲載内容に基づいて生じた不利益・損害等について、編集部および筆者は一切の責任を負いかねますことを、あらかじめご了承ください。

美容医療において、スレッドリフト(糸リフト)は、顔だけでなく体のさまざまな部位に使用することができます。今回は、再建・美容整形外科の専門医である Docteur Bernard Cornette de Saint Cyr医師とともに、顔における使用法について詳しく探りました。

糸リフトの役割と進化:美容医療における利用法

Bernard Cornette de Saint Cyr医師

糸リフトの人気の高まり

肌を引き締め、輪郭を整え、ボリュームを与える――。美容医療や美容外科において、フランス人の要求はますます高まっています。彼らは侵襲的な手術を避けつつ、早く目に見える効果を求めています。そのため、再建・美容整形外科の専門医であるBernard Cornette de Saint Cyr医師は、美容医療の施術を行う頻度を増やしています。その中でも代表的なのが、顔における糸リフトです。

糸リフトとは?

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糸リフトは、組織に引っかかるよう斜めに刻み(クランテージ)が入った糸を、皮膚や筋肉の下に挿入して固定する施術です。一度挿入した糸は、その構造上、取り除くことはできません。

吸収糸(フィル・リゾルバブル)

糸リフトには吸収糸と永久糸の2種類があります。吸収糸は、美容皮膚科や美容医療でよく用いられます。効果の持続は8〜18か月程度で、時間とともに体内に吸収されます。

永久糸(フィル・パーマナン)

永久糸はクランテージがより強力で効果も長持ちします。素材は心臓外科の縫合にも用いられる安全性の高いもので、長期間の効果が期待できます。永久糸は、皮膚の表層より深いSMAS(表在性筋膜系)に挿入され、リフティングに近い結果を得られます。

顔における糸リフトの用途

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フェイスライン・首・頬の引き締め

年齢による輪郭のたるみや頬の下垂を改善。特に35〜55歳の肌が比較的しっかりしている方に有効です。逆に、日焼けや喫煙で皮膚が大きくダメージを受けている方は効果が限定的です。

鼻の矯正

鼻先を持ち上げる効果があり、メディカル・リノプラスティ(ヒアルロン酸などによる注射治療)と組み合わせることも可能です。

糸リフトと注入療法の併用で得られる高い相乗効果

糸リフトと注入療法は競合するものではなく、組み合わせることでより良い結果を得られます。例えば、ポリ乳酸注射はコラーゲン生成を促し、年齢とともに頬がこけやすい方に適しています。まずポリ乳酸注射で肌をふっくらさせ、その後に糸リフトを行うことで、支持力を高めつつリフティング効果を持続できます。

施術の流れ

特別な準備は不要。局所麻酔を行い、糸を針に通して皮膚下またはSMASに挿入。必要に応じて1〜2cmの小さな切開を行うこともあります。

所要時間

  • 吸収糸:10〜15分程度。
  • 永久糸:局所麻酔下で約2時間。
  • 頬、フェイスライン、首など複数部位を一度に治療可能。

術後の注意

  • 結果は1〜3週間後に確定。
  • 3〜4週間は強いマッサージを避ける。
  • サプリ(オメガ3など)や運動(※マラソンなど強い衝撃は除く)は有効。

リスクと副作用

  • 拒絶反応は稀。
  • 感染リスクはあるが、抗生物質で対応可能。まれに改善しない場合は糸を抜去する必要あり。

費用の目安

  • 吸収糸:平均 1,000〜2,000ユーロ。
  • 永久糸:平均 5,000〜7,000ユーロ。

「傷跡のない美容整形」への期待高まる糸リフト

患者は「全身麻酔や手術痕を避けたい」という希望を強めており、その需要が高まっています。永久糸は将来の外科的リフティングを妨げることはなく、むしろ手術を遅らせる手段として活用されています。専門医によれば、糸リフトは「傷跡のないリフティングという夢を実現しつつある」と言えます。



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DORIANE FRÈRE

DORIANE FRÈRE

国際版コラム責任者/ジャーナリスト

フランス雑誌『Les Nouvelles Esthétiques』のコラム責任者でありジャーナリスト。

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