J&JがシーズHDを2300億円で買収、29日から買収交渉
2018.10.29
編集部
米ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、ドクターシーラボを傘下に持つ株式会社シーズ・ホールディングス(HÐ、東京都渋谷区、1部上場)の株式を株式公開買い付け(TOB)などで買収する。買い付け額は、総額2300億円に上る。TOBは、今月(2018年10月)の29日から2019年1月の期間にかけて行う。TOBによってJ&Jは、化粧品分野に本格参入することになり、顧客基盤を取り込みながら日本や米国、アジア市場で化粧品の拡販を図り攻勢をかける。
TOBは、1株当たり5900円で買い付ける。買い付け総額は、最大約1500億円に上る見込み。TOB後J&Jは、シーズHDの創業者、城野親徳会長らが保有する資産管理会社の株式を約800億円で取得する。また、TOB終了後、シーズHDは、上場を廃止する。一連の買収についての話し合いは、今月29日から始まった。
今度の買収劇は、シーズHDとJ&Jは、2015年10月にJ&Jがアジア太平洋地域での事業拡大を目的としてシーズHDに対して資本業務提携を提案。2016年7月に両社が資本業務提携した時点でJ&Jは、822万株をシーズHD創業家から取得、145万株を新株予約権で取得するなど買収劇が一挙に進展した。
買収のメリットは、商品構成についてシーズHDが「ドクターシーラボ」などの高価格帯の製品に強みを持つ。一方で、J&Jは「Aveeno」や「Neutrogena」などの比較的安価な製品が多い。そのため、今回の買収によってJ&Jは、製品ラインアップを広げることができる。また、販売チャネルについては、シーズHDが通信販売に強みを持っており、会員ベースで1258万人を抱えるなどJ&Jにとって販売チャネルについても有効活用できる。
一方、シーズHDは、海外進出で伸び悩み、J&Jとの提携によってJ&Jの海外販売網を生かすことができる。
ともあれ、国内化粧品市場に多国籍企業のJ&Jが本格参入することになったことで、業界の過当競争は、一段と激しさを増すのは必至の情勢。