花王、アイビー化粧品、コーセーの2019年化粧部門業績
2019.05.29
編集部
〇花王、Eコマースやトラベルリテールチャネルを強化
花王株式会社(東京都中央区)の今期(2019年12月期連結)の化粧品事業の業績予想は、独自の技術を活かした商品の高付加価値化に取り組む一方で、重点ブランドを明確にして一つ一つのブランドを磨き上げ、伸長しているEコマースやトラベルリテールチャネルを強化して戦略的なブランドポートフォリオを構築する。また、好調な中国を中心にアジアの一層の強化を図りながら同時に、日本の構造改革をさらに進める。こうした施策により、化粧品事業の売上高は、2900億円(実質増減率4.5%増)を見込んでいる。
スキンケア・ヘアケア事業は、消費者の価値観や生活習慣の変化を見極めながら、商品の高付加価値化を進め、グループならではの独自性と魅力のある提案によって市場の活性化を図る。特に、細分化していく市場への対応や新しいエリアやカテゴリーに積極的にチャレンジする。スキンケア製品では、ミクロレべルの隙間まで塗りムラを防ぐ世界初の処方を採用したUVケア商品を「ビオレ」から販売する。
欧米の事業では、「モノづくり」の体制を強化するため、組織を再編し、事業の立て直しを図る。また、消費者の購買行動の変化に合わせたマーケティング活動や売り方の改革等も推進する。
一連の施策により、同事業の売上高は、3570億円(実質増減率5.7%増)を見込んでいる。
〇アイビー化粧品、大幅な減収減益
アイビー化粧品(東京都港区)の2019年3月期決算(連結)は、売り上げ、営業利益とも減収減益となった。売上高は33億3500万円(前期比40.7%減)、営業損失9億8900万円(前事業営業利益1億5300万円)、当期純損失10億3600万円(前年度57万5000円)と厳しい決算となった。
こうした中、化粧品部門の業績は、スキンケアについては、平成30年6月に、肌本来の力をサポートし、輝くような透明感のある肌を目指す美白シリーズとして「リホワイト クリアアップ ローション」(医薬部外品)、「リホワイトクリアアップ クリーム」(医薬部外品)」を発売した。また、美白と美肌を叶え、さらなる美しさへと導くための美容液「ホワイトパワー セラム」(医薬部外品)は、同社の成長戦略を担う柱となる製品として位置付けており、発売当初から同製品の販促プロモーションや先行予約促進を販売組織づくりと連動して積極展開し、販売強化に向けて経営資源を集中して取り組んだ。しかし、販売会社の在庫調整の影響を大きく受けたことにより、当初予定していた美容液合計数量の2割に満たない受注となるなど大幅受注減に見舞われた。
スキンケアシリーズの販売強化も年間を通じて実施することで、販売組織の拡大と新規顧客獲得に取り組んだが「レッドパワー セラム」及び「ホワイトパワー セラム」の売上予算に占める比率は60%と高いため新製品や通常レギュラー製品ではカバーしきれずスキンケア全体の売上高は24億,500万と前期比50.1%減となった。
メークアップについては、平成30年12月に数量限定のセット製品「アイビー メークアップコレクションザ グロウイング スマイル」を発売し、顧客満足向上に努めた結果、売上高は3億4100万円(前期比5.2%増)となった。
ヘアケアについては、新製品の発売はなく売上高は、1億3600万円(前期比16.0%増)となった。
その他化粧品新製品の発売はなく売上高は4030万円(同25.7%増)となった。
〇コーセー、ハイプレステージ領域でコスメデコルテが業績を牽引
コーセー(東京都中央区)の2019年3月期の化粧品業績は、ハイプレステージ領域において国内外で過去最高の売上を記録した「コスメデコルテ」が牽引したことに加え、専門店チャネルへの新業態提案を推進した子会社㈱アルビオンや米国タルト社が展開するメイクブランドを中心に堅調に推移した。また、プレステージ領域においては、国内で薬用美白美容液や薬用シワ改善クリームを発売した高効能特化型ブランド「ONE BY KOSÉ」が大幅に伸長した。
海外では、重点グローバルブランドの販売が好調だった韓国と中国が業績を牽引。また、国内外における免税チャネルの売上も年間を通じて高成長を継続した。これらの結果、当事業の売上高は2549億6500万円(前年同期比11.0%増)となった。
コスメタリー事業については、コーセーコスメポート㈱が展開する日やけ止めブランド「サンカット」やボタニカルヘアケアシリーズ「サロンスタイル ビオリス」などが好調に推移したほか、セルフメイクブランド「ヴィセ」、ヘアケアブランド「スティーブンノル ニューヨーク」、ネイルブランド「ネイルホリック」等も伸長した。これらの結果、売上高は、746億3200万円(前年同期比4.6%増)となった。