オーガニック食品の残留農薬を調査する方法
2019.06.11
国際部
「オーガニック」のラベルの付いた果物や野菜の残留農薬を検出する方法について6月5日、American Chemical Society(アメリカ化学会)からプレスリリースされた。研究の詳細は学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載されている。
合成農薬を使わずに栽培されるオーガニックの果物や野菜はより健康的であると考えられている。また、その人気と値段は、オーガニックであると偽って販売する詐欺行為を助長する原因ともなっている。しかし例えば、オーガニックの果物表面に多少の農薬があるということは、必ずしも意図的な詐欺を示唆するものではない。これら化合物は隣接する農園から風によって吹き飛ばされた可能性もある。「オーガニック」のラベルの付いたすべての野菜や果物が完全に無農薬であるわけではなく、農薬に使用される少量の物質を検出するのは困難な場合がある。そこで今回、研究者らはオーガニック食品の検証方法を改善するため、実験用ブドウ園を試験場として、農薬が分解したときに植物内で生成される代謝産物を分析する方法を開発した。
超高速液体クロマトグラフィーと高分解能質量分析の組み合わせで、7つの一般的な農薬の代謝産物を同定し、スクリーニングした。植え付けと収穫の間の異なる間隔で、ブドウの葉と果実、およびワインにこの方法を適用した。化合物のレベルは時間とともに変化するため、これらの物質の代謝産物も検出した。その結果、この方法を使うと、ワインに残った化合物までも検出可能であることがわかった。研究者らは、この方法は有機農法での違法行為を取り締まるための食品規制当局の取り組みに役立つはずと述べている。