「酒さ」治療にβ遮断薬の併用が効果
2015.01.16
国際部
顔面の毛細血管が拡張して、ほおやおでこに赤みが出るのが「酒さ」という疾患。30代以降の女性に多く、進行すると赤みが強くなったり、ニキビのような吹出物(酒さ性ざ瘡)などが表れる。「赤ら顔」として悩む患者が多い一方で、原因は特定できておらず、治療が難しい疾患のひとつ。現在、主に使用されている治療薬はドキシサイクリンと呼ばれる抗菌薬の一種。
今回、酒さに対してβ遮断薬を使用した研究が実施され「The Journal of Dermatology」1月号に掲載された。
ドキシサイクリンは全身治療薬として、β遮断薬は酒さによる紅潮反応を抑制するために使用した。韓国のプサン国立大学病院の患者78人を対象に、ドキシサイクリン治療、β遮断薬の一種プロプラノロール治療、両方の薬剤併用治療の3グループに分けて試験を行った。
試験終了後、3グループすべてにおいて患者評価および医師評価の上昇が見られた。酒さ臨床スコアの減少は併用治療で最も効果があり57.4%の減少、ドキシサイクリン治療では52.2%、プロプラノロール治療では51.0%の減少だった。併用治療グループで軽度一過性の胃腸障害が見られた。酒さによる赤みと吹出物の両方を抑制するためには併用治療が有効と、研究者らは結論している。
β遮断薬は、交感神経の活動をおさえ、血圧や脈拍数を減らす薬。高血圧治療薬として一般に用いられている。酒さに効果が見られたというβ遮断薬にはナドロール、カルベジロールなども報告されている。