ドライアイに「柿の葉」エキスがいいかもしれない
2016.05.2
国際部
柿の葉のエキスがドライアイに効くかもしれないという研究結果が、「Molecular Vision」4月号に掲載された。
この研究では、柿の葉のエタノール抽出物をドライアイモデルの実験用マウスに投与した。マウスのドライアイ誘導は、目薬の防腐剤として広く使われている塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いた。
マウスのドライアイマウス誘導のため、1日2回、14日間にわたり塩化ベンザルコニウム0.2%溶液を点眼した。柿の葉抽出液は、14日間の点眼後の14日間毎日、強制的経口投与を行った。比較対照群には保存剤を含まない目薬を点眼した。結果は、涙液分泌量(シルマー試験)、涙液層破壊時間(BUT)、およびフルオレセインスコアを眼の表面で測定。また、BAC誘発性角膜損傷は、ヘマトキシリン-エオシン染色を用いて測定。角膜上皮層におけるアポトーシス細胞死は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPビオチンニック末端標識(TUNEL)染色で検出。インターロイキン1アルファ(IL-1α)のタンパク質発現レベル、IL-1β、IL-6、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、および単球走化性タンパク質-1(MCP-1)は、ウエスタンブロット分析を用いて決定。角膜上皮層の扁平上皮化は、サイトケラチン-10を免疫蛍光法で検出。角膜における細胞増殖はKi-67を免疫組織化学染色で調査した。
柿の葉抽液は、涙液層破壊時間の延長、フルオレセインスコアの低下、涙液量の増加などの結果をもたらした。また、マウスの炎症反応および角膜上皮細胞死を阻害し、扁平上皮細胞の変化抑制も確認された。角膜上皮細胞における増殖活性の改善も見られた。研究者らは、柿の葉がドライアイの治療薬となる可能性を示唆している。