都市の大気汚染は農村から?

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2016.05.20

国際部

農場が主要な大気汚染源となっているという報告が5月16日、コロンビア大学地球研究所のパブリックリリースで発表された。

この新しい研究で確認されたのは、米国、欧州、ロシア、中国の各国では、微粒子状の空気汚染の多くが農場から排出されているということだった。その原因は、窒素を豊富に含む肥料と動物の排泄物を元とするガスが空気中で固体粒子を形成し、病気や死亡原因の大きな元凶となっている。良い展望としては、多くの予測がそう言っているように、産業排出量が今後数十年で減少するとすれば、肥料の消費量が倍に増えたとしても、微粒子による大気汚染は少なくなるというものだ。

農業による大気汚染の多くは、畜産廃棄物からの蒸発したアンモニアによる。それは、自動車、発電所、工場などからの排出される窒素酸化物や硫酸塩などと結合し、2.5マイクロ以下の小さな固形粒子を形成、またはエアゾルの形で空気中に拡散する。特にエアゾルが問題となっている。粒子は肺の奥深くにまで入り込み、心臓疾患や肺疾患を引き起こし、2015年「Nature」誌の研究では、少なくとも毎年330万人が死亡しているという。

論文筆頭著者のSusanne Bauer氏は「われわれは肥料に反対しているのではない。人口増に伴う食糧生産の増強に合わせて、今後はより多くの肥料が必要となっている」。事実、人工肥料の生産は、1950年の2000万トンから、今日では1.9億トンにまで急増している。著者らは、農業から排出されるエアゾルは、他の産業からの排出物と結合して汚染物質となるということは「良いニュース」であると述べ、それは、工業などの産業からの排出物は強い削減規制がかかり、減少傾向にあるからだとしている。

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