カルシウムと高血圧リスクの関連は単純ではない

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2016.12.19

国際部

カルシウム不足は骨折や骨粗しょう症の原因として知られているが、最近注目されているのは高血圧や動脈硬化リスクとなるという説だ。乳製品およびカルシウムの摂取と高血圧リスクの関係を調査した論文が12月14日、「Journal of Nutrition」に掲載された。一般に乳製品の摂取が少ないアジア人での疫学研究は初めてという。

1993-1998年にシンガポール中国健康研究に参加した45-74歳の3万7124人の中国人男性および女性を対象とした分析を実施した。参加者は、研究参加時にがん、高血圧、または心臓血管疾患の病歴がなく、1回以上のフォローアップインタビューを終えたものとした。食事内容は165項目の半定量的食品頻度アンケートを用いて評価した。高血圧症発症の診断は、1999-2004年および2006-2010年時のフォローアップインタビューで確認された。解析はCox比例ハザード回帰法で潜在的交絡因子の調整を行ったうえでハザード比を算出した。

その結果、乳製品摂取量が多いほど高血圧リスクが低減する、用量依存的な逆相関が観察された。摂取された乳製品のうち約80%がミルクだった。毎日ミルクを飲む人は、飲まない人よりも高血圧リスクが低かった(ハザード比:0.94)。全カルシウム摂取量の80%が乳製品以外のものからだった。乳製品からのカルシウム摂取量は高カルシウム血症リスクと関連したが、乳製品以外からのカルシウム摂取とは関連がなかった。

乳製品、特にミルクの摂取量は、中国人成人の高血圧発症リスクを低下させる可能性があるが、これはカルシウムの含有量とは関連していないことが示唆された。

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