漢方薬の知識向上で、登録販売者の活躍広がる
2017.05.25
編集部
漢方薬の需要拡大に伴い、OTC医薬品の販売を担う登録販売者の漢方薬に対する知識向上が求められている。一般社団法人 日本医薬品登録販売者協会(会長・樋口俊一氏)では、登録販売者資質向上研修(集合研修)において、2016年度から新たに漢方薬の講座を設け、登録販売者の資質向上を図っている。
集合研修は、厚生労働省の「登録販売者の資質の向上のための外部研修に関するガイドライン」に基づき実施されている。ガイドラインでは、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」から「その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規」まで計7項目を研修内容に盛り込むことが求められている。
同協会の集合研修は、前期(6時間)と後期(同)に分かれて実施している。前期のカリキュラムについては、合計4コマの講座を設定。第1講座の「薬事行政情報」と第2講座の「医薬品販売業に関わる法規と制度」のほか、第3講座と第4講座には毎回異なるテーマを取り上げて、店頭で求められる情報提供に役立つ講座を開設している。
漢方薬は、2016年度後期カリキュラムから初めて第4講座(80分)に設けられた。集合研修のテキスト作成などを担当している一般社団法人 日本薬業研修センターによると、合計7回実施する計画。テーマとしては第1回が「漢方の基礎」(2016年度後期に終了)、第2回「風邪の漢方薬」(2017年度前期)、第3回「便秘、胃腸症状を中心とした現代病」、第4回「花粉症を中心としたアレルギー性疾患」、第5回「肥満・むくみ(ダイエット)を中心とした生活習慣病」、第6回「婦人科症状と泌尿器」、第7回「精神疾患(ストレス)と滋養強壮薬」を盛り込んでいる。
現在、OTC医薬品の7~8割はドラッグストアで販売されているとされ、OTC漢方薬もドラッグストアの売り上げに貢献している。同協会では、過去に単発で漢方薬の講義を行ったことはあるが、今回のように、漢方薬の基礎知識から応用まで体系的に勉強できる講座を設けたのは初めて。「研修受講後のアンケート調査で、漢方薬を学びたいという声が多かった」(日本チェーンドラッグストア協会 第三事業部 部長の横田敏氏)ことから、シリーズ化の実施に踏み切った。
集合研修の前期は5月からスタートしており、9月まで全国各地で開催される。2017年度前期の漢方薬の講座については、前半に漢方薬とは何かという基本的な知識から始め、「風邪の引き始めの漢方薬」「長引く風邪の漢方薬」「鼻水・鼻づまりの漢方薬」「咳・痰の漢方薬」について講義。最後は、実際に風邪の漢方薬を処方したケーススタディを動画で学習する。5月23日から東京都内でスタートした集合研修では、講師の南雲晃氏(マツモトキヨシ人事担当・薬剤師)がそれぞれの風邪の症状に合せた代表的な漢方薬を紹介しつつ、その処方ポイントなどについて解説した。
漢方薬の講義は、評判が良いようだ。「多くの受講者から、とても良かったとの声を頂いた。講座を通じて漢方薬に関心を持つようになったという登録販売者もいた。若い方も意外と漢方薬に興味を持っていることがわかった」(横田氏)。
近年、ドラッグストア内の調剤部門売り上げが伸びている中で、漢方薬への注目度は増している。「漢方薬はもっと潜在需要があると見ており、それが顕在化しつつある。しかし現状、漢方薬を詳しく説明できる登録販売者は少ない。個人の症状に合った漢方薬を紹介できるようになれば、漢方薬はまだまだ伸びる可能性がある」(横田氏)としている。