近視/乱視用の有水晶体眼内レンズで角膜内皮細胞減少

最新商品

2017.10.2

国際部

近視/乱視治療を目的とした硬質虹彩支持型有水晶体眼内レンズ(pIOLs)挿入後の、内皮細胞密度(ECD)の変化を検討した論文が9月18日、「Ophthalmology」オンラインに掲載された。有水晶体眼内レンズは、コンタクトレンズの使用が難しくなる中年期以降の近視/乱視患者、またレーシック手術適応外患者に用いられる。

今回の試験では、オランダのUniversity Eye Clinic Maastricht において、Ophtec社(本社:オランダ)製のArtisan MyopiaまたはArtisan Toricを挿入した患者289人(507眼)を対象とし、術後の追跡調査を行った。381眼には近視用Artisan Myopia、126眼には乱視用Artisan Toricが挿入された。近視眼では193眼が5年、127眼が10年の追跡を、乱視眼では40眼が5年、20眼が10年の追跡調査を完了した。

主要評価項目は、黒目の代謝に関係する角膜内皮細胞の慢性的な減少、角膜内皮細胞が25%以上低下した眼の割合、角膜内皮細胞密度が1500個/mm2の眼の割合とした。角膜内皮細胞は損傷を受けると再生しない細胞で、重篤な場合は角膜移植となる。近年コンタクトレンズの長時間装着での細胞数減少が問題となっている。

その結果、年間の慢性的な角膜内皮細胞減少は近視群48 個/mm2、乱視群61個/mm2となり、術後6カ月から10年時までの総EC減少率は16.6%、21.5%となった。留置後10年時の細胞数減少が25%以上だった割合は7.9%、6.3%だったが、1500個/mm2未満の細胞は3.9%、4.0%だった。レンズの除去率は6.0%、4.8%だった。角膜内皮細胞減少増加のリスク因子は前房深度低値および同等のレンズの中心および周辺端部と内皮との距離だった。時間の経過に伴う角膜内皮細胞数の減少が有水晶体眼内レンズ挿入後に確認された。

#

↑