成人の肥満に効果があった対面型認知矯正療法
2018.01.26
国際部
統合失調症の治療などに利用されている対面型認知矯正療法が、肥満の人にも有効であるという研究結果が4月発行の「Appetite」123号に掲載予定となっている。この論文は、昨年12月24日に「Appetite」オンラインに掲載された。
これまでの研究は、肥満の人は神経認知障害を抱えており、特に認知機能における柔軟性の低下が減量や体重維持に影響を与えている可能性を示唆している。今回の研究では、肥満の人の認知機能の柔軟性の改善、過食症状の軽減、生活の質の改善、減量の補助への対面型認知矯正療法の有効性を検討した。研究参加者は肥満成人80人、70%にむちゃ食いの習慣があった。「行動習慣性減量」(Behavioural Weight Loss:BWL)のセッションを週3回受け、その後に対面型認知矯正療法のセッションを8回受けるグループと、何の治療もしないグループに分けた無作為化比較試験を実施した。
混合効果モデル分析により、対面型認知矯正療法を受けたグループは、無治療のグループと比べ、治療後および3カ月のフォローアップ時に認知機能の柔軟性が有意に改善したことが明らかになった。対面型認知矯正療法を受けた患者の68%が5%以上の体重減少を達成し(無治療では15%)、むちゃ食いも減少していた。これは、対面型認知矯正療法が肥満に対する有効性を示した最初の研究である。研究者らは、より長期治療および長期のフォローアップによる効果の評価が必要としている。