ツムラ、中国市場で2027年に売上1700億円を目指す

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2018.02.14

編集部

株式会社ツムラ(東京都港区)は14日、中国事業ビジョン説明会を開催し、中国平安保険(集団)股份有限公司との資本提携により、2027年には中国市場での売上高として100億元(約1700億円)を掲げた。「中薬市場のNo.1企業を目指す」(代表取締役社長の加藤照和氏)。

100億元の事業内訳として、中成薬、生薬、中薬配合顆粒、分析の4事業が含まれる。詳細の資金計画はこれからだとしながらも、まずは生薬調達体制の強化に関する事業(約103億円)と中薬を主とした分析研究に関する事業(約21億円)について、「具体的な事業に落とし込んで取り組んでいく」(加藤氏)。

現在、ツムラ100%子会社である津村(中国)有限公司と中国平安保険の子会社である上海平浦投資有限公司の2社の出資による合弁会社「平安津村有限公司」を「4月に設立する予定」(加藤氏)で進めており、前述の4事業のうち分析を平安津村が担う。

分析については、製造とは独立した機関としての位置づけで、中薬に関する高品質な基準の確立を目指し、その他の各事業のブランド構築の礎となる。「ツムラグループ全体の分析を担うことになり、将来的には第三者からの分析依頼も受託」(加藤氏)するビジネス展開も視野に入れている。

ツムラはこれまでに蓄積してきた豊富な分析技術を所有。生薬特性に即した試験法、基原鑑定、生薬成分単離・精製、検査結果からの栽培・加工など様々な技術を中国ビジネスにも活かしていく。併せて、「中国平安は生体認証技術や顔認証技術など優れたIT技術を持つ。今後はその技術を生薬選別自動化、生薬基原鑑定などにも応用していきたい」(加藤氏)との考えを示した。

ツムラは、現在、中国市場において、子会社の深圳津村が担う原料生薬と飲片(刻み生薬)の販売だけで「数千万円の売上」(加藤氏)にとどまっている。今後は、3月に設立を予定している合弁会社「津村盛実製薬有限公司」が漢方製剤の中間体である漢方エキス粉末や中成薬の製造・販売を担う。また、中薬配合顆粒については、上海上薬津村がその研究開発から製造・販売まで一貫体制を構築する。

これまでは自力で販路開拓を行ってきたが、中国平安保険の持つ巨大ネットワークを使って、一気に中国市場に販路を広げていきたい考え。「(中国平安保険の健康管理プラットフォームである)平安Good Doctorやクリニックチェーンの平安万家医療などの診療所に販売していく計画を立案していく」(加藤氏)。

ツムラの調査によると、中国における中薬市場規模は8749億元(約14兆8700億円)。このうち中成薬が6697億元と約77%を占める。中成薬は同社が掲げる4事業のうちの1つで、今後は市場が大きい分だけ売上も拡大が見込まれる。具体的には「漢方の古典処方をベースにしたエキス製剤の販売を想定」(加藤氏)しており、中国市場に攻勢をかけたい考えだ。

参考リンク
株式会社ツムラ

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