脳刺激は肥満治療として食物欲求を減少させる可能性があるという研究報告が5月20日、欧州内分泌学会（European Society of Endocrinology）からプレスリリースされた。この研究は、2018年5月19-22日バルセロナで開催された、欧州内分泌学会年次総会（ECE2018）で発表された。

今回使用された深部経頭蓋磁気刺激（Deep Transcranial Magnetic Stimulation：dTMS）は、磁気エネルギーの使用により脳の特定領域ニューロンを刺激するもので、治療抵抗性大うつ病性障害や双極性障害の治療などに使用されている。以前の研究ではdTMSが薬物や食物の欲求を減らす効果があることが示唆されていたが、この効果を引き起こすメカニズムは今まで調査されていなかった。

研究は肥満者40人を対象に、dTMSが肥満者の食欲と満腹感に与える影響を調査。dTMS30分間のセッションを高頻度または低頻度受けることによる食物報酬と潜在的に関連する血液マーカーへの影響を評価した。その結果、高頻度のdTMSが、低頻度のdTMSまたは対照と比較して、食物摂取後の報酬の感情を高めることに関与するβ-エンドルフィン – 神経伝達物質の血中濃度を有意に増加させることを見出した。「肥満患者の苦痛と肥満による社会経済的負担を考えれば、肥満への新しい戦略を見つけることがますます緊急になっている」と研究者らは述べている。