【連載】大手化粧品会社の研究㊲日本コルマーの会社研究 ~研究成果発表へ、2018年3月期14期連続の増収~(下)

2018.07.17

特集

編集部

日本コルマーは、大阪府柏原市、八尾市、島根県雲南市(出雲)、神奈川県横浜市の4ヵ所に本格的な開発機能を持つ研究所を保有する。また、中国・蘇州の科瑪化粧品(蘇州)有限公司にも研究陣を有し、新製品開発や海外法規制の情報交換等を行うなど研究開発を重視した取り組みを行っている。
国内4研究所合わせた陣容は、研究員約130名が研究開発業務に従事し、消費者ニーズ等をリアルタイムで収集している営業部門やマーケティング部門と連携してスピーディに化粧品原料や新製品を開発している。
研究所と営業部門等における連携によって顧客のニーズに合わせたソリューション型の提案を可能とするなど新製品の開発は、年間約8000SKU(SKU=Stock Keeping Unit、在庫管理の際等に用いる商品識別の最小単位)に上る。また、同社が独自に開発した処方は90%に達するなど、自主開発を主体に取り組んでいることが伺い知れる。

4研究所の中で一番新しく設立(2015年4月、東京工業大学内)した横浜研究所では
①東京工業大学と共同で新しい化粧品基剤原料の開発とその応用処方の開発
②機能性原料の経皮吸収効果を検証するとともに、高圧乳化技術を応用して吸収効果を最適化する処方の開発
③正常の肌より薄い敏感肌の角質層三次元皮膚モデルを用い、安全性を検証した敏感肌用処方の開発
④これらの研究成果を国内外の学会で発表するなどに取り組んでいる。
関東圏で初めて開設した横浜研究所について同社は「2020年にも共同研究の成果を形にしたいと考えており特許取得も目論んでいる。
これらの成果を踏まえて2020年開催の世界的な化粧品学術大会「『IFSCC』の場で発表する方針」としている。IFSCCは、国際化粧品技術者会連盟のこと。

ところで同社は、化粧品受託企業の中で、国内最大規模の売上高を誇る。2018年3月期の売上高は、単体で約385億円、連結で約420億円と14期連続の増収になった。
好調な業績要因は、大手化粧品各社がアウトソーシングを活発化していること。ここ数年、インバウンドでの需要拡大に続き、越境ECによるアウトバウンドへと変化していること。
ユーザーニーズに対応した問題解決型営業と開発のスピード化等が奏功していることが挙げられる。

同社は、2016年1月に経団連の会員になった。狙いは、東京に軸足を置いて事業展開すること。特に、研究開発のオープンイノベーションに拍車をかける。

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