【連載】大手化粧品会社の研究(81)コスメティックスローランドの会社研究 ~研究開発部門の業務効率化確率、全社情報ネット構築も視野~(下)

2019.03.12

特集

編集部

コスメティックスローランドは、化粧品の製造における処方管理システムの改善に取り組み、研究開発部門の業務効率化を図った。これにより、新製品開発力の向上と開発のリードタイムを短縮するなどの効果を実現した。

同社は、営業部門や企画部門が化粧品メーカーなどから新製品開発のニーズをヒアリングし、それに基づいて研究開発部門でサンプルを試作。そのサンプルをもとに改良を加えながら新製品を市場投入してきた。
しかし、試作サンプルは、年間3000種類以上にも達するほか新製品開発は、年間400種類以上に上るなど、新製品や試作品をタイムリーに市場に提供する場合、大きな課題となっていた。
OEM、ODM、自社ブランド製品のいずれにおいてもスピードが極めて重要で、市場ニーズの変化に対応して製品を提供し続けるためには、研究開発部門の業務効率化が不可欠の状況にあった。特に、サンプルを試作する時にその成分表や配合の割合などをまとめた各種帳票をエクセルで作成するのに時間がかかりすぎるなど作業工程での問題を抱えていた。
試作サンプルは、一つひとつに成分表や構成表が必要で、1つの成分表を作成するのに平均1時間を要していた。1日約10種類のサンプルを作成すると書類の作成だけで10時間もかかっていた。
そこで同社は、エクセルベースでの帳票作成を「パッケージシステム」に刷新することを検討し大手システム会社が開発したシステム導入に踏み切った。

同社の研究開発本部に新たなシステムを導入したことで、従来のエクセルベースの作業では、成分配合量に応じて手作業で成分についてのデータを並び換えることが必要だった。
それが、パッケージシステムにしたことで、自動的にデータが並べ替えられるため、時間の短縮とデータの検索精度が向上し、作業時間が3分の1程度短縮された。また、従来のシステムでは、新商品の設計や開発段階で原料価格を変更すると、そのたびに成分表などを作成しなおす必要があった。これが新システムでは、原料価格を修正するとそれが処方データにも反映されるため、作業の効率化が図れた。また、各種帳票の作成など附帯業務の効率化によって生み出された時間を本来、注力すべき研究開発に振り分けることができるようになったことも大きな効果といえる。

同社では今後、新システムを海外向けの輸出製品の増加に伴い、輸出に必要な各種書類も処理できるようにして業務の効率化を図る。と同時に、研究開発部門から製造部門までを情報連携によって全社的な経営効率化に繋げていく方針。

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