【連載】化粧特許と知的財産権②フアンペップ、機能性化粧品等を開発しロイヤリティ収入等獲得(上)

2019.05.15

特集

編集部

株式会社フアンペップ(大阪府茨木市)は、大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの実用化を目指す大学発ベンチャー。2013年に機能性ペプチドのデザイン、創製、最適化技術をプラットフォームに用いて次世代創薬や機能性化粧品、医療機器を開発することを目的に設立した。

事業モデル(図参照)は、大学の機能性ペプチドの研究成果の中から実用性の高いプロダクトについて共同研究を行い、実用化への橋渡しを行う。
これに基づいて医薬品、機能性化粧品及び医療機器として開発し、製薬、化粧品企業等とのパートナリングにより、ライセンス契約料、ロイヤリティ収入を獲得することで事業を発展させることを基本とする。

同社の技術的強みは、特殊な機能性ペプチドである抗体誘導ペプチドを創生するプラットフォーム技術「SPIRIT」を保有していること。
SPIRITは、機能性ペプチドの創製に関する技術。抗菌ペプチドの一種である「AG30」(生体防御=免疫のための物質)を起源とし、そのペプチドを構成するアミノ酸の一部を置き換えることで機能増強、多機能化、特定の機能消失、新しい機能等が付与されたペプチドを見出す技術。

同社は、ペプチン等を創製してきた過程において目的とする機能を持った機能性ペプチドを創製していく技術・ノウハウ等を保有している。
抗菌ペプチドの一種であるAG30に限らずホルモン等の他の病気に関連する分子を起源とする機能性ペプチドの創製にも応用が可能。

抗体誘導ペプチドの創製に関する技術として「STEP UP」技術を保有する。大阪大学と共同研究により抗体誘導ペプチドのエピトープ(抗体が抗原を認識し結合する抗原上の特定の部位)を選定する技術ノウハウを保有している。

このエピトープは、標的分子に対する液性免疫は誘導するものの細胞性免疫は誘導しないように設計する必要がある。また、抗体誘導ペプチドは、免疫システムを利用したワクチンの一種で、免疫を誘導するキャリアタンパクや免疫を増強する物質であるアジュバントに関する技術ノウハウも必要になる。

これらの技術ノウハウは、病気に関連する様々な標的分子に対する抗体誘導ペプチドの創製に応用が可能で、企業等への技術供与等によって事業収入に繋げている

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