【連載】化粧特許と知的財産権③MTG、中国からの模倣品撲滅に取り組む(中)

2019.05.23

特集

編集部

MTGは、美容機器や化粧品、フィットネス機器などのビジネスを国内外で展開する中、「リファ」が市場に受け入れられるようになると一挙に模倣品が出現するようになった。
同社は、その対策の一環として多くの特許を取得し、アイデアの独占権を主張している。また、デザインを守るため意匠、ブランドの商標権の保持にも力を入れている。
これまで同社が特許、意匠、商標権などの知的所有権を出願した累計出願数は、2019年2月現在、約2600件に上る。

同社がこうした知的所有権を出願する背景には、美容ローラーの模倣品対策がある。意匠権による水際措置を実施したものの模倣品は、商品本体のみならずパッケージや取扱説明書までコピーされるなど悪質さはエスカレートするばかりの状況。中には、権利確保が十分でなく輸入の差止など水際での措置を断念せざる場合もあり、これをきっかけにして商品開発と連動した知的財産活動の強化に乗り出している。

強化策として社内に「知的財産プロジェクト」を立ち上げ知的財産部門を大幅に強化し、自社の商品を保護するために必要な特許、意匠、商標の積極的な権利確保を本格的にスタートさせた。しかし、年間約50件もの新商品を開発しており、全て知的財産権で守ることは、費用的に限界があった。
そこで、模倣品を戦略的商品と一般的な商品に分けて対応。戦略的な商品には、意匠において全体意匠、部分意匠及び関連意匠、更には発売時期を見込んだ秘密意匠制度の活用を幅広く組み合わせて様々な角度から意匠ポートフォリオを構築した。また、特許、意匠の審査に当たっては、積極的に面接審査を活用するなど特許、意匠、商標の知財ミックスにより「何があっても商品を守ることができる権利化」に努めるよう知財戦略を強化した。

さらに、国内への流入を阻止するため、中国の調査会社と連携し、模倣品が流れるルートや製造拠点を突き止めて中国公安局に摘発を依頼。また、商品本体のデザインを模倣している場合は、意匠権侵害訴訟を起こすなど法的訴訟に打って出ている。また、日本貿易振興機構の模倣品対策事業を活用して中国の製造拠点3ヵ所を突き止め警告書を送付、日本国内への差し止めを行った。
同社では「悪質な模倣品による健康被害の危険から顧客を守り、安心して商品を使用していただくために、市場を調査し、模倣品を発見次第、知的財産権を行使して模倣品を絶対に許さないという強い姿勢で、模倣品の撲滅に向けてグローバルに取り組んでいく」としている。

#

↑