【連載】化粧特許と知的財産権⑤福光屋、化粧品原料の製造方法で製法特許取得(中)
2019.05.30
編集部
福光屋は、アミノ酸を出すがアルコールは出さない酵母を発見し特許を取得合わせて「化粧品原料の製造方法」(特許)として量産化に道を開いた。
化粧品原料の製造方法は、天然保湿因子(NMF)の主成分である天然のアミノ酸を豊富に含んだ保湿効果の高い化粧品原料の製造方法に関するもの。また、天然のアミノ酸を豊富に含んでいるばかりでなくアルコール独特の香りや刺激を抑えて人体に対して安全な化粧品原料の製造方法を具現化した。
天然のアミノ酸を化粧原料とした製造法は、麹、蒸米、水を混合して加温し、麹の酵素により米の澱粉の糖化を行って糖液を製造し、得られた糖液に乳酸菌を添加して乳酸菌の育成を行い、糖液との作用により発酵させて乳酸を生成。また、製造環境から侵入する野生酵母を死滅させるために、硝酸還元菌を添加して亜硝酸を生成させる第一工程と、調製された糖液を加えてさらに乳酸発酵を行って乳酸を生成させた後、酵母を添加してアルコール度数1%未満の範囲に発酵させる第二工程からなり、天然アミノ酸を含む保湿効果の高い発酵液とすることを特徴とする。
本発明は、ノンアルコールコメ発酵液の製造において第一工程で麹、蒸米、水を混合して加温し、麹の酵母により米の澱粉の糖化を行って糖液を生成。その後、糖液に乳酸菌を添加して乳酸菌の育成を行い、糖液との作用により発酵させて乳酸を生成させると共に、侵入する酵母の機能を無くすために硝酸還元菌の添加により亜硝酸を生成させる。
第二工程においては、この乳酸菌を育成したものに調製された糖液を加え、さらに乳酸発酵を行い、乳酸発酵完了後、酵母を添加してアルコール度数1%未満の範囲に発酵させることを特徴とする。
化粧液の保湿効果を示すため、本発明の化粧液を配合したスキンケア化粧品と保湿効果をうたっている他社同価格帯スキンケア化粧品を比較するために、水道水を使って前腕塗布後の角質水分量を経時的に測定した。
測定条件として室温25°C、相対湿度50%の環境をつくり、被試験者には測定前に入室してもらい環境にならした。
その結果、本発明を配合したスキンケア化粧品を塗布した場合、120分後の角質水分量は、化粧品塗布前に比べ1.2倍増加し、他社同価格帯スキンケア化粧品の1.1倍増よりも高いことを示した。また、水道水を塗布した被試験部位と比べると120分後の角質水分量1.5倍もの差が認められ、保湿効果の高さが推察されている。
本発明は、米という100%天然素材を原料として用い、安全で保湿効果に優れた化粧品原料に適した醗酵液が短時間で大量に提供される道を開いたもの。また、機能性素材として米の利用用途を広めたばかりでなく保湿効果が高いというデータから化粧品原料としての利用価値を高めたことが注目される。
本発明は、天然保湿因子(NMF)の主成分である天然のアミノ酸を豊富に含んだ保湿効果の高い化粧品原料の製造方法に関するものである。 本発明は、天然のアミノ酸を豊富に含んでいるばかりでなく、アルコール独特の香りや刺激を抑えて、人体に対して安全な化粧品原料の製造方法を具現化するものである。