【連載】化粧特許と知的財産権⑨ヒカリ、理美容用ハサミのパイオニアに躍り出る(上)

2019.06.19

特集

編集部

株式会社ヒカリ(東京都板橋区)は、理美容師が使うプロ用カットハサミのメーカー。理容師・美容師がヘアカットに使うハサミ(シザーズ)のブランドとして日本のみならず、欧米、アジアにおいて高い知名度を誇る。

ヒカリの歴史が始まったのは1967年。より良いハサミの研究を行うために光刃物研究所を立ち上げたのが起源。

日夜シザーズの研究を行う中で大きな転機となったのが「蛤刃」〈ハマグリ刃〉を持つシザーズ(写真)の開発。蛤刃とは、刃の断面に蛤のような丸みを持たせた形状の刃で、日本刀と同じ構造となる。

同社は「髪に触れるだけで切れる」と豪語するほど切れ味抜群のシザーズを世に送り出し、理容業界のパイオニアになった。

「喜ばれるものをつくろう」それが同社の合言葉だ。つくった製品が、顧客に喜ばれるものであるかどうか。それが同社の基本的なポリシーであり、そのポリシーのもと、職人の手によって一つ一つ丹念に手づくりされているシザーズは「抜群の切れ味を持つ」として理美容業界で知れ渡っている。

同社が喜ばれるものをつくることに徹している背景には「製品がお客様に喜ばれるからこそ対価を得ることができ、感謝がある」という考え方だ。

かつて同社は、自ら製造したシザーズを理容師・美容師等に対して実際に試してもらい、その切れ味に驚いてもらうことで、認知度を高めてきた。また、職人に対して技術レベルを要求し、使い勝手の良い道具づくりを追求してきた。

「品質に徹底的にこだわり、顧客に感動を与えること」-。それがものづくりに徹した同社が最も大切にしている考え方である。

さらに、顧客のニーズをくみ取り新たな製品を生み出す研究開発・製造・販売・アフターケアまで一貫した体制が同社の特徴といえる。

同社は、研究開発、製造、代理店方式での販売、アフターケアまで一貫して行うため、メンテナンスに対しても製品に対する使い心地や改善点に対する意見を口頭やアンケートを通じて直接吸い上げてすぐに開発部門に回すなど短期間での製品開発や仕様変更を実現している。この一貫したサービスが、理容師・美容師の使い勝手の向上に繋げたといえる。

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