【連載】化粧特許と知的財産権⑯アローゼ、国の海外知財支援制度活用し海外展開実現(上)

2019.08.5

特集

編集部

株式会社アローゼ(熊本県熊本市)は、1987年3月に創業した中小化粧品メーカー。現在、オールインワンゲルや洗顔クリーム、美容液、化粧水、日焼け止め、メイク落とし、男性向けスキンケア用品など約40アイテムを通信販売や「かんぽの宿」、「休暇村協会宿泊施設」、温泉施設等で販売している。
同社のユニークな動きとして経済産業省傘下の独立行政法人「工業所有権情報・研修館」が特許庁と連携して行う「海外展開知財支援プロデューサー制度」を活用して知財面から海外展開を実現した。

海外展開知財支援プロデューサーは「輸出・eコマース」「原材料・部品の調達」「組立・製造委託」「海外事業拠点の構築」等海外展開を目指す中堅・中小・スタートアップ企業に対し、支援サービスを行う窓口の専門スタッフ。
海外駐在経験をもち海外における「ビジネス・知財総合戦略」等に精通した企業OBをプロデューサーとして登録し、企業からの派遣要請に応じて海外展開を指導助言する。

同社が海外展開の計画を立てたのは、2008年に中国・大連の代理店を通じて商品販売に乗り出す計画を立てた。しかし、中国で化粧品販売する場合、現地の「輸入許可ライセンス」を取得する必要があった。
このため、現地の代理店を通じて様々な書類を提出し、取得を試みたが許可が下りず良い結果に至らなかった。

そうした中、2014年に熊本で開催された経済産業省の8地方拠点の1つ九州経済産業局主催による「海外展開支援施策説明会」があり、そこで「海外展開知財支援プロデューサー制度」を知ることになり支援を受けることになった。
同社は、知財に関する基本的な事項をセミナー形式で担当プロデューサーにレクチャーしてもらうことから始めた。担当プロデューサーのレクチャーは、社員全員で聴講した。

そうしたことを踏まえ、中国における同社の現地代理店とは、契約事項もそれほど厳密なものではない状態でスタートしていた。しかし、中国全土に販売を拡大するのを機会に、同プロデューサー制度による的確なアドバイスを受けながら現地の代理店に対して知財戦略を前面に押し出しながら情報提供の厳格化による代理店契約の締結、商標権の取得などを実現した。

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