〇解説記事③マイクロプラスチックに揺れる化粧容器 ~化粧品業界、マイクロビーズ使用を自主規制~(Ⅲ)

2019.09.9

特集

編集部

マイクロビーズは、洗顔料などに入っているスクラブと呼ばれるもの。中には植物由来のものもあるが、多くは超微粒子のプラスチックでつくられている。プラスチックであるため、自然分解されることなく生態系に影響を及ぼす。
マイクロビーズ規制は、世界に広まっている。米国は、合衆国連邦法でマイクロビーズの化粧品への配合を禁止(2015年)。英国は、マイクロビーズ製品の製造を禁 止(2016年)、フランスも化粧品への配合を禁止した。

米国、欧州での規制に伴い、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米プロクター・アンド・ギャンブル、フランスのロレアル、英・オランダのユニリーバが相次いで化粧品への配合を禁止。果物の種子などに素材を転換することを打ちだした。
日本は、マイクロプラスチック廃止を定める法案はないものの、日本化粧品工業連合会が会員企業に対してマイクロビーズ使用の自主規制(2016年3月)を要請した。
同連合会は、洗い流しのスクラブ製品は、マイクロプラスチックの主たる流出源ではないものの、洗い流しのスクラブ製品におけるマイクロプラスチックビーズの使用中止に向けた速やかな対応を会員企業に呼びかけた。企業の責任において自主的に判断して規制するもの。ちなみに2017年度における国内マイクロビーズの消費量は、年間数百万トに上る。
現時点において主要メーカーのほとんどが洗い流しのスクラブ製品におけるマイクロプラスチックビーズの使用を中止している。また、マイクロプラスチックの規制が進む欧米への輸出に対応するため、国内のメーカーがマイクロプラスチックやマイクロビーズの自主規制を行っている動きにある。

国内化粧品メーカーの自主規制への対応として
①天然由来成分を使用していないごく一部の洗い流す化粧品等についてマイクロプラスチックビーズから代替素材に切り替え
②開発した新しい洗浄料からマイクロプラスチックビーズの配合を中止
③既存の洗浄料の出荷を早期に終了
④国内で販売している洗い流し化粧品にマイクロビプラスチックビーズの配合を廃止するとともに海外で販売している製品も代替を検討するー などの取り組みがみられる。
だが、マイクロプラスチック廃止を定める法案がない日本が、個々の企業の自主判断で生産・販売中止がどこまで浸透・進展するか、リサイクルの問題と絡めて疑問視する向きもある。

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