【連載】化粧品が起こすイノベーション・この技術に注目㉔女性心理と化粧品開発(下) ~メナード、ナリスがスキンケアの心理解明、ときめきを数値化~

2020.06.10

特集

編集部

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市)は、日本福祉大学と共同で、女性の「ときめき」の感情構造を分析したところ、「ときめき」は「幸福」、「動揺」、「強気」、「平穏」、「不満」の5つの感情から構成されていることを突き止めた。また、その5つの感情をもとに、ときめく気持ちを数値化できる心理尺度を作成して化粧品に対してときめいた際の特徴的な感情について数値化した。

同社は女性を対象に「ときめき」を感じた際の感情変化を調査し、「ときめき」を構成する感情について詳細に分析した。その結果、ときめきは「幸福」、「動揺」、「強気」、「平穏」、「不満」の5つで構成されることが判明した。
さらに、憧れのスキンケア製品に対する「ときめき」と身近にいる好きな異性に対する「ときめき」を比較すると、「幸福」の感情はどちらも強い一方で、好きな異性に対しては「動揺」が強いのに対し、憧れのスキンケア製品に対しては「強気」の感情が強いことが明らかになった。
この結果から、同じ「ときめき」という言葉で表される状況であっても、ときめく対象によって気持ちが異なることが分った。

同社では「女性のときめき尺度を用いることで、さまざまな対象によるときめきの心理状態を数値化し、比較することが可能となった。今後も多くの女性をときめかせる商品開発や美容提案に応用するため、ときめきの研究を続ける方針」という。なお、研究の成果については、2019年9月に開催された「日本健康心理学会」で発表した。

株式会社ナリス化粧品(大阪府大阪市)は「スキンケア」のパーソナルな感覚や深層心理を明らかにするため、20〜49歳代女性約2200人を対象に「スキンケアと女性心理」に関するインターネット調査を実施した。

同社は、効能などの実用面や個人の感覚的な感想などあいまいな言葉で語られることが多い「スキンケア」のパーソナルな感覚及び深層心理を明らかにするため行ったインターネット調査(2019年10月)の結果、
①8割の女性が肌の触感についてその日の気分に影響
②いつまでも魅力的な女性でいるために最も努力していることは「スキンケア」 3人に1人が、最も努力しているのは「スキンケア」
③スキンケアをすることで実現したいことは「自分に自信を持ちたい」が約5割に達する
④自分のためにスキンケアをしている女性は8割に上る
⑤良いスキンケア品と判断する基準として「使用時の触感が良い」が約2割を占めたほか「スキンケア品が肌に入る感覚を実感できない」は48%に上った。また、「肌に入る」は、スキンケアを表現する言葉として一般的だが、約半数の女性は実感できていない」ことが判明した。

同社は、新製品開発において社内外のパネラー数十名で、数週間にわたり、自宅など実際の使用シーンに合わせてテストを行い、効果効能や安全性、使用感についての調査を行うことを基本にしている。今回も使用テストで出てきた意見を元に改良を行い今後、最終的な製品のパフォーマンス向上に繋げていく方針。

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