【連載】この中小化粧品会社に注目㊵よーじや(上)~あぶらとり紙、おしろい紙等和製化粧品で存在感示す~

2021.02.18

特集

編集部

京都を代表する創業117年を数える老舗企業「よーじや」は、1904年に國枝商店として創業したのが起源。1954年に現法人を設立し、基礎化粧品やベースメイク化粧品と合わせて脂とり紙(写真)、おしろい紙、化粧筆等の和製化粧品の製造・販売会社として独自の存在感を見せている。

同社は現在、化粧品と喫茶事業を主力に事業展開している。この中で和製化粧品事業の中核をなす商品「あぶらとり紙」は、化粧をおとさず余分な皮脂を吸い取る吸着性に優れているのが特徴。

あぶらとり紙誕生のきっかけは、映画の撮影時に強いライトを浴びる役者がドーランを塗った肌に生じる“あぶら浮き„に悩まされていた。
相談を受けた「よーじや」の初代は、試行錯誤する中で襖や屏風に使われる金箔の裏打ち紙で、古来より上流社会の女性や粋人の間で重宝されてきた「ふるや紙」に着目した。
ふるや紙は、金箔を製造する過程で使用される特殊な和紙。脂分を吸収し、肌のテカリを抑えるなど油吸着能力が高いのが特徴。
だが、ふるや紙仕立てのあぶらとり紙は、舞台の役者が幕間にあぶら浮きを押さえるためサイズが現在の約4倍程度の大きさであった。
これを手のひらサイズの手帳型に改良して1920年代に1冊5銭で販売したところ、徐々に愛用者が増えた。
1990年代には、「よーじや」の社名とともにあぶらとり紙が「手軽に皮膚の脂分がとれる」として京都の土地柄から花街の女性や舞台・映画関係者の間で評判となり一気に全国に知られるようになった。

あぶらとり紙と合わせて「おしろい紙」もユニークな商品。あぶらとりとおしろいを一体化させたもの。 超微粒子パウダーなので厚塗り感も無く自然で綺麗な肌に仕上げる。
皮脂を拭き取ると、おしろいが付けられ、ファンデーションのつけ直しの手間がかからないため、化粧を直したい時に利便性がある。また、色のバリエーションも豊かで、ナチュラルな仕上がりの伽羅(きゃら)の色、クリアな真珠の色、肌が明るく仕上がる桃花の色と3色展開。

ともあれ、同社の和紙の伝統文化を生かした和製化粧品の事業展開は、他社に見られない独自色を彷彿する。

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