(77)トキワ/下  ~米カーライルと提携、第2創業強化を狙う~

2021.09.1

特集

編集部

トキワは、投資ファンドの米カーライル(ワシントンDC)と業務資本提携(2019年3月)を交わし第2創業に力を入れて取り組んでいる。

資本業務提携に伴いカーライルからトキワに拠出したエクイティ資金(トキワが新株を発行して事業のために資金を調達することを意味する。株式資本、自己資本を増加させる資金調達方法で、貸借対照表の資本が増加する)は、カーライル日本法人が組成するバイアウト投資向け第 3 号ファンド「カ ―ライル・ジャパン・パートナーズ III」より拠出した。ファンド拠出額、株式取得額は不明。

カーライルは、欧米、アジアなどに29の拠点を構えプライベートイクエティファンド(PEファンド)として中堅企業で未公開企業中心に投資している。同時に、投資先企業に役員を派遣して経営を管理または事業の立て直しなどに力点を置いて投資を行うのが特徴。

しかし、業務資本提携について記者発表した両社は「カーライルの持つ経営強化のノウハウと化粧品・ラグジュアリーブランド等の消費財分野での知識と経験を活用することで、化粧品製造業界のグローバルリーダーとしてのポジションを強化し合わせてグローバル・リーディングカンパニーを実現する」とコメントするなど定番で何の変哲もないカタ通りの発表を行った。

このため、提携の真意が伝わらず提携の狙いが雲散霧消の状態となった。そこで、トキワにとってカーライルと提携した真の狙いは、カーライルとの資本業務提携を機会に副社長から社長に就いた日比野仁美氏は「日本で数々の実績を誇るカーライルをパートナーとして迎えられることを嬉しく思う。カーライルの支援により経営陣・従業員による第二創業を果たし、組織のさらなる主体性を引き出すことで、永続発展する価値ある企業作りに取り組む」と説く。

このコメントにあるようにトキワのカーライルとの提携は、カラーコスメのOEMオンライン製造サービスやビューティ―アクセラレータープログラムなど新規事業を「第二創業」と位置付けて成長軌道に乗せることにある。

第2創業は「経営者画入れ替わり先代の経営者から受け継いだ事業を一新して行う」新たな事業領域への挑戦といえる。

第2創業のメリットは、既存事業で得ている人材や顧客、信用などを活用できること。また、ゼロから操業するより投資ファンド、金融機関等からの資金調達がしやすいほか既存事業の行き詰まり感を払拭し企業に新しい風を入れることが可能など。要は、新規事業の戦略立案による収益を安定確保することが重要。

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