(83)ホシケミカルズ/下 ~前会長と前社長が事業承継し経営革新に取り組む~

2021.09.29

特集

編集部

ホシケミカルズは、事業承継に伴い経営革新を大胆に推し進めたことが今日の経営基盤を作ったことに繋がっている。

同社は、創業から 10 年間は毎年、赤字の状況が続いた。化粧品は既に成熟産業であったことから、 化粧品のベースとなる原料は利益率が低く、大量に取り扱うか、利益率の高い商材を扱わなければ大きな利益を確保することは難しかった。 そこで、1980年半ばから、単に原料を売るのではなく、化粧品の OEM 製品の仲介を事業の柱として展開した。

OEM進出と同時期に化粧品容器にも進出し、OEM 製品を容器の企画、製造業者の選定なども含めたパッケージで提案した。

さらに、OEM 事業の拡大を狙って製造体制の構築に打って出た。1989年に製造子会社として㈱コスメボーゼ(群馬県邑楽郡)を立ち上げた。その後も、 ㈱オーラコスメティックス(基礎化粧品、毛髪品等製造)、㈱エステノーパ(化粧品の充填・包装)、㈱スターパック(メイクアップ製造)といった製造子会社を立ち 上げ、それぞれ、OEM の化粧品本舗の依頼に応じて開発する体制をとった。

別会社としたのは、異なる化粧品本舗の製品を同じ製造元で供給できないことによる。㈱スターパッ クは、メイクアップ商品を専門に扱う会社で、他の 3 社は基礎化粧品、頭髪用品を扱っている。

こうした中、代表取締役前会長と代表取締役前社長による事業承継(2005年4月)を契機に一段と経営革新に取り組んだ。

取組内容は、OEM 先に化粧品のターゲット、宣伝方法、包装などを含めて提案することを狙ってデザインや企画制作などを行う会社㈱アジェナを設立した。

研究部門の統合も行った。 2005年に各生産子会社にあった研究部門を統合し、同社内に集約した。 研究部門を統括したことにより、研究開発の成功率が高まった。また、開発において同じ分析機器を別々の場所に持つという非効率性を排除することで、全体の利益を底上げできるようになった。

2007年には、子会社のコスメ ボーゼ、オーラコスメティックス、エステノーバ、スターパックの 4 社を統括管理する持株会社「㈱スターラボ・ホールディングス」を創設。ホシケミカルズは、スターラボ・ ホールディングスの筆頭株主となった。

さらに、財務をグループで管理することで、間接部門の人員を削減するとともに、創業者の時代には不明確だった資産管理も一元化した。

今後、同社にとって必要なのは、売るノウハウをいかに高めるか、である。2年前の2019年7月の人事で代表取締役に就いた星野拓氏の手腕に一段と期待が高まっている。

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