【連載】化粧品各社のイノベーション研究【24】大塚製薬② ~エナジーシグナルAMP配合美容液、シミ・肝斑に有効性実証~

2016.05.18

特集

編集部

大塚製薬は、1998年にメラニンの蓄積をおさえ、シミ・ソバカスを防ぐ効能を持つ薬効成分「エナジーシグナルAMP」(成分名・アデノシン1リン酸2ナトリウム OT、医薬部外品)の製剤化に成功。2004年10月に厚労省から美白分野で初の薬用成分の承認を受けた。
エナジーシグナルAMPは、皮膚の表皮エネルギー代謝を促進し、ターンオーバーを促すことでメラニンを体外に排出し、シミやソバカスを薄くする。
この作用機序は、メラニンの生成を抑制する既存のシミ・ソバカス対策成分の作用機序とは全く異なる。

同社は、エナジーシグナルAMP配合の美容液を使い、実際のシミにどれだけ効くかを、共同研究に取り組む東京女子医科大学研究チームの試験で確かめた。
臨床試験は、肝班(かんぱん)というシミのある20代から60代までの女性患者27人を対象に、1日2回、患部に3%のエナジーシグナルAMP配合の美容液を16週間塗って試験した。
その結果、医師が患部を診断する方法で判定し、「改善した」(38.5%)と「やや改善した」(53.8%)を合わせて92.6%に効果があった。
肝斑また、角質細胞の面積は、870μm2から830μm2に縮小し、角質層のメラニン量も68μm2から64μm2に減った。ちなみにターンオーバーが遅くなるほど、角質細胞の面積は大きくなった。
これらの治験から、「エナジーシグナルAMP」は細胞の代謝を高め、細胞の若返りを促す働きをする結果、肌全体の若返りが促され、肝斑(写真)を含むシミ全般やハリ、たるみ、シワなどへの効果が期待できることを実証した。
同社が「エナジーシグナルAMP」という細胞の代謝を促して肌細胞を活性化する薬効成分を開発したことで、化粧品分野へ参入する基盤を確立した。

ともあれ、大津スキンケア研究所(1990年設立)が皮膚の健康を目指す健粧品の開発を進める中で、加齢による肌の変化や肌トラブル、肌細胞のエネルギー代謝を活性化させる薬用成分「AMP」(アデノシン・リン酸)というシグナル物質に着目。以降、細胞を活性化させて表皮のターンオーバーを促進し、シミやソバカスを薄くする作用を持つことを10年の歳月をかけて実証した、
同社は、若々しい肌を保つために重要なことは「エネルギー代謝の活性化である」と考え、1000種類以上の植物や酵母などを調べ、約10年の歳月をかけて薬用有効成分「エナジーシグナルAMP」を開発。2004年に美白分野で「メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ」という効能効果を取得。2005年には、「エナジーシグナルAMP」をスキンケア化粧品に配合して、「インナーシグナル」のブランドで、国内市場に本格投入した。

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