【連載】大手化粧品会社の研究(61)かがやくコスメの会社研究 ~収益動向とVCの出口戦略に関心~(下)
2018.11.30
編集部
かがやくコスメの主力ユーザーは、生協で一般流通向けを含めてケア、メイクアップ、ボディケア、口腔ケア、ヘアケアなどの化粧品、衛生用品を企画・開発・販売している。
生協向け化粧品の中でも「美白とうるおい」という美肌に欠かせないキーワードを形にしたのが美白化粧品「ベルシーオ」(写真上)。販売してから約30年を経過する。
ベルシーオを販売した当初は、化粧品としてスタートしたが、OEMメーカーと共同開発を重ね、美白化粧品として進化。2014年には、UVエイジングケアとして生まれ変わり、新しいシミ対策としてのUVプロテクト効果とスキンケア効果で、紫外線から肌を守る美白化粧品ブランドとして今なお進化を続けている。2014年には、一般流通市場向けに美しさに対してポジティブであるための化粧品ブランドとして「ソロソロ」(写真下)を誕生させている。
同社の化粧品事業の強みは、生協化粧品市場でトップクラスの実績を誇っていることが挙げられる。
同社は、1986年より生協への化粧品販売を開始。その後、全国の生活協同組合および事業連合へと取引を拡大し、生協化粧品市場でトップクラスの実績を残している。
現在、生協に対し、年間300種以上の化粧品を企画提案、販売しておりこれからも、全国の生協とのパートナーシップをより強固なものとしていく考え。
市場ニーズを的確に捉えるマーケティング力も強みだ。市場が求めるニーズを的確に捉えるため、市場調査・分析、商品コンセプト・戦略立案等のマーケティング活動を積極的に行っている。その結果を商品開発や販売施策に反映することで、顧客の要望に応えるように努めている。
同社は、2年前にベンチャーキャピタル(VC)の傘下に入って以降、事業の強みを生かした化粧品事業を継続して展開している。
しかし、VCの出口戦略として投資先企業が思うように業績の向上が果たせない場合、第3者に売却することが想定される。VCが投資資金を回収するのは一般的に、投資先企業からの配当や株式公開による株価収益率に負うところが大きい。
その意味で同社の業績が安定していればVCが出口戦略に打って出る可能性は低い。だが反面、業績が鈍化し先行きの業績が見通せなくなった場合、同社の身売りが浮上する可能性が強い。
こうした懸念が同社の経営面での弱点材料として横たわる。ともあれ、今後の同社の収益動向とVCの出口戦略に関心が注がれる。