- “体験重視”が新常識!顧客を虜にするサロン作り
- “行きたい!”を生むサロンへの大胆シフト術
- 守り×攻めでブランド強化!美容業の最新コンプライアンス戦略
- 知られざる規制リスク回避術!エステ業のコンプライアンス基礎
- ポイント経済圏活用術!リピーターを生む“プラスワン”メニュー設計
- 基礎品質徹底で差別化!今こそ見直す“当たり前”サービス
- 伸びる需要を取りこぼすな!ケアメニューの魅力化ポイント
- 無人化×人材確保の狭間で揺れる?モチベーション向上の鍵
- 権限委譲で現場を活性化!“技術責任者”体制のススメ
- 行動量を支える熱源とは?モチベーション3段階の真実
- “プランドハップンスタンス”で掴むキャリアの幸運術
- 健康寿命延伸時代のキャリア再設計メソッド
“体験重視”が新常識!顧客を虜にするサロン作り
本来の「エステティック」とは、ゴールを満たすだけでなく、曖昧な“キレイになりたい”という気持ちまでも満たしてくれる、居心地の良い場所であるはずです。欧米のスパはまさにその願望を叶えてくれる場所で、滞在型でどこかテーマパークのような要素がある。顧客をファンにし、時間消費を促しているのです。しかし、日本ではまだまだ難しい。
DNA診断をする美容室も出てきているようで、“キレイになりたい”という願望に上手くリンクさせるようにしているのでしょうが、本来ならば、エステティックサロンの方がしやすいはずです。
目的達成型のサロンでは、価格競争に負けてしまいます。価格を下げれば瞬間的には顧客が来るのですが、顧客のゴールが満たされると客足は途絶えてしまう。「この店でなければ」と利用客に思わせるような世界観、価値観、コンセプトを持った店は強い。これらに共感した利用客が来てくれるからですね。自分たちのサロンの“顔つき”をはっきりさせ、サロンのあり方を消費者に提案する。これが必要になるはずです。
“行きたい!”を生むサロンへの大胆シフト術
手遅れになる前に、シフトチェンジを図るべきだといえます。技術、立地、サービス……何を大事にし、何を顧客に訴求すべきか、改めて見直してみてはいかがでしょうか。レンタルビデオを利用しない時代が来るだろうと予測し、TSUTAYAはいち早く転換を図りました。ライフスタイルを提案し、売る。その根本にはインテリジェンスがあります。これを美容に置き換えたらどうなるでしょうか。景気はすぐにシュリンクするでしょうし、モノはもっと売れなくなる。そういう時代にあって、強く残るサロンを作るにはどうすべきなのか。インテリジェンスをもって売場=サロンを見直し、顧客の消費意欲を喚起していく。同じ業界だけでなく他業種にもよくアンテナを張り、情報収集をすることから始めてはいかがでしょうか。
守り×攻めでブランド強化!美容業の最新コンプライアンス戦略
「コンプライアンス」という言葉がエステティック業や美容業でも特に注目を浴びるようになってきました。そもそも、コンプライアンスには“守り”と“攻め”という両方の側面があります。リスクマネジメント、企業として反社会的行為を行わない、ダメージを可能な限り抑えたい……これが、コンプライアンスにおける“守り”の側面。一方で、法令を遵守することで“いい会社だ”と思われるようになる、人材が集まる、融資を得られやすくなる。消費者からの信頼を厚め、企業のブランド価値を高める。これが“攻め”の側面です。
美容業界において、なぜいま、コンプライアンスが再注目されてきているのでしょうか。
まず、採用が難しいという問題があります。高校生が進路を選択するにあたり、親や学校から反対されるという状況です。きちんとコンプライアンスを守れる会社でないと、採用時の競争力に大きな差がついてしまうのです。また働き始めたスタッフのモチベーションも大きく左右されるでしょう。また、株価を上げることで企業の価値を上げる、さらにクレーム対応にかかるコストを下げるという管理コストのコントロールという側面もあります。経営戦略を実現するための重要な手段なのです。
知られざる規制リスク回避術!エステ業のコンプライアンス基礎
エステティック業におけるコンプライアンスには、まず、販売方法の問題があります。長期・継続的なサービスの提供と、これに対して高額な対価を約す取引「特定継続的役務提供」において、エステティック業は対象業種です。特定商取引法の規制対象業態として規定されています。さらに、医療や美容業、リラクゼーション業との境界が曖昧なことが多く、業態としての線引きが難しいこともあります。この二つの問題を明確にしたうえで、コンプライアンスを考える必要があります。
ポイント経済圏活用術!リピーターを生む“プラスワン”メニュー設計
ポイントで形成される一つの連合体。これを「ポイント経済圏」と呼びます。エステティックサロンなど、サービス業でも使うことのできるポイントが広がっているようです。
ポイント経済圏に加盟することのメリットは、ユーザーがポイントを使えるだけではありません。ポイントを使うと、ユーザーの買い物履歴と年齢、性別などの属性がわかります。つまり、エステティックサロンに興味がありそうな人々に、効果的にダイレクトメールを打つことができるのです。消費行動を分析して次の行動が読めるかどうか、ポイント経済圏において勝者になれるかがかかっています。
ポイントを供給しているのか、消費させているのかを把握することは大事ですよね。ポイントを供給している場合、販促としてポイントを使えているかが鍵。ユーザーがリピーターとして戻ってこなければ、ポイントに加盟しても得はありません。
ユーザーからすると、美容はポイントを消費する傾向にあるようです。これは贅沢消費全般に共通する傾向ですね。特に美容は消費の「プラスワン」をしやすい。例えば、貯まったポイントを使ってワンランク上のパックをしたり、20分のマッサージを追加したりしやすいのです。一方で、こうした「プラスワン」ができる、あるいはしたくなるようなメニューがないと、消費が流出してしまうのです。ここはビジネスのセンスが問われるところですね。基本的には何かを「アドオン」あるいは「プラスワン」させることで販促として使わなければ意味がないと考えてください。美容はメニューを作りやすい業界ですから、ぜひ取り組んでみてください。
基礎品質徹底で差別化!今こそ見直す“当たり前”サービス
機械に置き換えることができるものは置き換えていい
「当たり前品質」は、提供されて当然の品質であり、これができていないと不満につながってしまうもの。「魅了品質」は、提供されなくても構わないけれど、あれば満足というもの。
「魅了品質」は、あくまでも“ここまでやりたい理想の話”。経営者としては現場に求めたいものでもあります。しかし、いまエステティックサロンやヘアサロンで起きているのは、この不一致。経営者が理想としているものに、現場が追いついてこないのです。
例えば、接遇、清掃、挨拶、金銭の授受といった「当たり前品質」ができていない現場に、いくら“最高の品質”を求めても無理なのです。この、「当たり前品質」ができていないサロンがとても多い。しかも、高級店の方がこの不一致が生まれがちです。
原因としてはやはり人手不足は大きいと思います。経営者の立場からすると、金額やサービスといった「当たり前品質」を強化しても他店と差別化ができないのです。だからつい「魅了品質」ばかり追い求めてしまうのですが、深刻な人手不足に悩まされている美容業界や飲食業界では、「当たり前品質」の方がおろそかにされてしまうのです。
私としては、機械に置き換えられるものは置き換えてもいいのではないかと思っています。ヘアサロンではオートシャンプーにしたり、これから変わってくるところは多いと思いますし、それでいいと思います。
キャッシュレス化もどんどん進んでほしいと思います。電子マネーだと釣り銭間違いもないですし、レジ閉めにも時間がかからない。機械に任せた方が効率的で早いし、何より大切な人材を疲弊させなくていいというメリットが大きいのです。
伸びる需要を取りこぼすな!ケアメニューの魅力化ポイント
美容業界のモチベーションマネジメントの話です。ヘアにしろネイルにしろ、ケアメニューが伸びしろがあるし、今後残っていくものだと考えています。ケアメニューというのはメリットが大きくて、粧材が売りやすいうえにリピートされやすい、つまり「お金がとれる」ものなのです。ですが、あまり力を入れていないサロンが多い。なぜかというと、美容師やネイリストというのはデザインをやりたくて業界に入ってくる人が多いので、ケアというのは“面白くない”と思ってしまうものなのです。美容師をケア領域に進ませるのは簡単なことではないのです。
エステティック業界における、エステティシャンのモチベーションというのは、ヘアやネイルの方にとってとても参考になるものだと思うのです。例えば、「エステティックグランプリ」もありますし、「感動」という言葉も頻繁に使われる。モチベーション管理が上手くいっている例だと思います。
無人化×人材確保の狭間で揺れる?モチベーション向上の鍵
人材集めに成功した例としては、時代性やファッション性を売りにして成功した例はいくらでもあります。このご時世に、入社の競争も激しく面接に整理券が配布される店もあります。
実際のマーケットで、ケアメニューへの需要は高まっており、特に地方ではその傾向が顕著です。その点、「人の役に立ちたい」「貢献したい」という人は、エステティックの方に進む傾向が高いと思います。
美容業界おいてのモチベーションマネジメントは難しい領域だと思います。ただ、これに真剣に取り組むのか「人を使わない」ビジネスモデルを進めるのか。その岐路に立っている領域がいくつかあるように思います。お金周り、顧客管理、集客などの領域は合理的な仕組みが多く導入されています。
権限委譲で現場を活性化!“技術責任者”体制のススメ
まず提案したいのが、メニューやコンテンツの責任者を組織の中に置くということ。例えば、特定のメニューに関する技術や接客に、経営者と同じぐらい責任をもって担当するという人が必要です。最近では、「技術責任者」「ディレクター」といった役職を設け、1、2人で小さな組織を監督するという会社も増えてきています。
マーケットとコミュニケーションをとるのが「マーケティング」ですから、顧客を理解し、顧客が実現したいことを支える『技術』をまず大切にすべきです。現場で何を提供するか、それを監督している人こそが権限を持つべきではないでしょうか。
数字だけを追うと技術力が落ちて事故が起きる恐れさえもあります。現場を最もよく理解している人がある程度の裁量をもって組織を動かすこと。これが、真の「マーケティング4.0」を実現するために、基礎的な体力を育てる肝になります。
行動量を支える熱源とは?モチベーション3段階の真実
モチベーションとは「熱」「やる気」「体温」のこと。一方でパフォーマンスとは、「成果」「目標達成」のことを指します。つまり、モチベーションとパフォーマンスはイコールではないのですね。ところで、ビジネスでは「人に会えば会うほどチャンスがある」と言われています。行動する量が増えるからです。。パフォーマンス(成果)を決めるのが行動量なのですね。行動の量がチャンスを招くのです。でも、行動を起こすというのは大変なこと。その時に何が差をつけるのかというと、モチベーションなのです。
モチベーションが落ちてしまう、またはなかなか上がらない時もありますよね。ダニエル・ピンクという人が、著書「DRiVE」の中でモチベーション3段階について説いています。
「モチベーション1.0(basic operating system)」:衣食住を満たすための生物としての基本的欲求に対する動機付け。
「モチベーション2.0(the carrot and the stick / reward and punishment)」は報酬、あるいは罰金。
「モチベーション3.0(Internal motivation / mastery)」は、自己実現を果たしたいという欲求や、社会と接点を持ちたい、社会に貢献したいという内発的欲求、人間として成長したいという心の声も入ります。
モチベーション1.0が満たされていないと、2.0や3.0に到達していないと言われているのですね。
“プランドハップンスタンス”で掴むキャリアの幸運術
目標を達成するためには段取りを組む力が必要です。でも目標に振り回されず、自分を主人公にして自分の人生を生きるためには、段取り力をモノにすることが必要です。
目標を達成すると、どのようなメリットが自分にあるでしょうか。例えば、承認欲求が満たされるということもあるでしょう。あるいは、相手と同じ感覚を持つことができたという「共感」が得られることもメリットです。そして、自分の思い通りに物事が進んだことにも満足感を得られるはずです。つまり、段取り力を自分のものにすれば、目標そのものに振り回されず、目標を達成するほどに満足感を得られ、自分の人生を生きることができるのです。
目標を達成するためには、段取りをしっかりと立てて地道に頑張るしかない。しかし、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授は、「計画された偶発性理論(プランドハップンスタンスセオリー)」を提唱しています。自分のキャリアは意図的に積み上げていくには限界があり、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」ため、その偶然を計画的に設計すべきということですね。目の前のことに一生懸命頑張れば、必ずチャンスはやってくる。チャンスの花束をどう掴むのか、掴めるのかは、自分の頑張りにかかっている。予期しない出来事を待つのではなく、積極的に行動することで「偶然を計画」すべきだと思います。
健康寿命延伸時代のキャリア再設計メソッド
「健康寿命」という言葉がありますが、これは平均寿命よりもマイナス10〜12年ぐらいと考えてよさそうです。寿命の延伸ではなく、健康な状態をいかに長く続けるか。これを考えながら、ロングライフと自分のキャリア、自分のビジネスのあり方についても考え直す必要がありそうです。
美容師やエステティシャンにとっては、これまでは現場で技術を磨いて、いずれは独立、経営者へというのが決まりごとのようになっていました。しかし、専門職のキャリアも変化する時期にきていると思います。例えば、自分の技術を教えたり、販売に力を入れたり、地域のコミュニティを活用したり……。幅はもっと広がってくると思います。専門職の方はどこでも生かすことができる「ポータブルスキル」を持っているのですから、有利だということができるでしょうね。たとえば、エステティックと福祉との相性もよさそうです。
最近はAI(人工知能)により“この仕事はなくなるのでは”という議論が盛んですが、それでも人にしかできない仕事がある。例えば美容師、エステティシャン、クリエイター、チームリーダー……高い技術と知識、スキルが必要だからですね。
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