新しい子宮頸がん検査の感度報告
2014.06.13
国際部
米国食品医薬品局(FDA)が2014年4月に25歳以上の女性用に承認した、新しい子宮頸がん検診の方法に関する報告が6月4日、「Annals of Internal Medicine」誌のIdeas and Opinions欄に掲載された。
現在、広く行われている子宮頸がん検査は「パパニコロウ試験(PAPテスト)」と呼ばれるもので、子宮頸部の細胞をこすり取って顕微鏡で観察するというもの。PAPテストは感度が低い、再現性に乏しいなどの欠点があった。また、人の目に頼る判断のため、観察者の経験や技量による誤差も否定できなかった。
新しく承認された「コバスHPV検査」(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)は、細胞からの核酸抽出・核酸増幅・検出まで全自動で行う遺伝子検査で、その感度の高さが期待されていた。米国ボストン大学の研究者によるこの報告では、PAPテストによるがん検出が40-70%であることと比べ、コバス検査では前がん病変の95%を検出できるとしている。
2012年に発表された、米国がん協会(ACS)、米国コルポスコピー・子宮頸部病理学会(ASCCP)、米国臨床病理学会(ASCP)の3団体合同によるガイドラインでは、30-65歳の女性に細胞診とHPV検査を併用することを推奨している。しかし、今回の報告では、2つの検査の併用による検出率の上昇はわずかとされた。
コバス検査は始まったばかりのため、これから十分な検討資料の蓄積が必要である。また、遺伝子検査用システムが高価なことも合わせ、検査の効果、普及、費用対効果などの検証はこれからが本番といえる。なお、日本では2013年1月、コバス検査システムは発売されている。