ビューティーワールド2011出展者満足度調査

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2011.06.10

編集部

マーケットレポート

出展者大幅減少により商談率が向上したものの主催者への不満は大きく

エステティック業界はもとより、国内経済全体の景気悪化が懸念される中で5月16日から3日間に渡り開催された今年のビューティーワールドジャパン。
3月に起きた東日本大震災の影響もあり出展企業数は前年対比で半減したにも関わらず出展企業の多くは取引の場として高い満足感を持っていることが本紙の調査で明らかになった。

まず、今年の同展に対しての印象は出展者の過半数が「例年以上」「例年と同等」に『盛況であった』と感じたようだ。また実際の商談については「期待を超える商談を得た」「期待した商談を確保できた」との回答が65%もあり、「期待に届かない」「下回る」とする回答の35%を大きく上回る結果となった。
そこで同展への出展がどの程度までメーカーの売上げに寄与しているのかを探ると、15%の企業が「経営に不可欠」と感じており、「大きな売上げが見込める」「それなりの取引が可能」とする回答を合わせると実に75%の企業がサロンとの取引に有効だと感じていることが浮き彫りになる。
しかし、来年の出展については「積極的に出展する」と回答する企業は20%に届かず、今年大阪で開催される同ウエストへの出展は「たぶん出展する」と回答する企業を含めても30%程度にしかならない。
その背景を探ると、とて興味深い出展者心理が浮かんでくる。
同展示会の主催者が「今後も業界をリードする立場にあると思う」と感じる出展者は29%程度あり、「リードする立場にあるとは思わない」と感じる回答13%の2倍超に及んでいる。しかし、「業界の活性化に対して十分に機能を発揮しているか?」という質問に対しては、「そう思う」が8%に対して「思わない」は実に38%と5倍もの開きがあり、主催者が単なる展示会を開催する程度の仕事しか行なっていないことへの不満が明らかになる。
結果として「同社に対する信頼は厚く今後も継続して展示会を主催して欲しい」との回答は15%に過ぎず、「業界が活性化するのであれば別の展示会でも良い」という回答27%とおよそ2倍の差が生じている。

では、なぜこのようなアンケート結果になったのかを分析すると、結論から言えば『業界最大級の展示会ではあるが運営努力を怠っているのではないか』と多くの出展者が感じているのだと推定される。出展者の多くは同社主催以外の展示会にも出展することで、他社の展示会運営と比較し、主催者によっては来場者の集客に多くのコストをかけていることも知っているが、同社のマーケティングでは出展者が来場者を呼ぶのが当然というスタンスすら感じるようだ。確かに集客に積極的な姿勢をとっているかと問われれば甚だ疑問を感じる仕事ぶりである。『「種(広報)」も「仕掛け(イベント等)」も無い』集客とはこのことかも知れない。
何れにしろ、今年のビューティーワールドは業界団体のトップを務める企業すら出展しない有様。その企業の責任感や統治能力に対する批判が当然のことながら集中している。そしてそれを誘致できない主催者。どちらもまた業界トップを自負するほどの使命感は持ち合わせていないようだ。

最後に、この展示会において出展者が一定の満足感を得られたことへの分析は非常に単純である。
それは出展企業数が5割も減少(注1)したにも関わらず、来場者数は2割程度しか減少していない(注2)ことが影響している。つまり、1社あたりの商談数が増加し出展企業の満足度が向上したと言う単純な理由であり、残念ながら展示会そのものの魅力や運営努力による成果ではない。
業界の活性化は明らかに〈現場〉から始まっている。

 

 

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