【連載】化粧品各社のイノベーション研究【30】石田香粧② ~OEM事業の売上比率80%、GMP工場で品質保証~

2016.06.28

特集

編集部

石田香粧の化粧品事業は、OEM事業に大きく舵を切っている。石田香粧戸田工場内
埼玉県戸田市に工場を移設した1972年から初のOEM生産を手掛けた。1980年代に入るとOEMの受注が拡大し、OEMに事業の軸足を置くようになったことで、1981年に戸田第2工場の増設に踏み切った。また、2009年には、戸田工場(写真)の製造・充填室をクリーンルーム化するなど、GMP(Good manufacturing practice=医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準)対応工場に改修を図り受注増に備えた。その後、1994年には、アーユルヴェーダのマッサージオイルを発売。インド式エステブームの火付け役となり、この頃からスキンケアを中心としたOEM事業に重点を置くようになった。

OEM事業は、1994年以降、現在までに約130社、約800種類以上にのぼる成分を取扱うなど、高い実績を誇る。
最近では、自然派・健康志向が高まりとともに低刺激・植物系成分・オーガニックなどの自然派化粧品のOEM製造を中心に受託生産している。
同社の総売上高に占める自社ブランドとOEM事業の売上比率は、OEM事業が8割、自社ブランド販売が2割となっている。

同社のOEM事業の特徴は、開発部門と営業部門、製造部門が有機的に連携して行っている。開発部門は、成分の抽出から安定性の試験、相乗効果のある成分とのベストな配合に至るまで、幅広く研究開発を実施。営業部門は、時代のニーズに合わせた製品の提案を実施している。
特に、同社は、業界でいち早く和漢植物成分を化粧品に取り入れた実績から、自然派の基礎化粧品類を中心に提案している。
OEM化粧品の生産は、GMPのもとで徹底的に製造管理、品質管理、衛生管理し、最新の生産設備で製造し対応している。製造室や充填室をクリーンルーム化して、製造室への入室の際には防塵服の着用とエアシャーを浴びることを義務づけている。また、作業室は、つねにクリーン度を中等度以上に維持。各工程で製品の品質チェックを行うなど徹底した管理体制で、原材料から成分にいたるまで、安全性の高い製品を提供するための品質保証に努めている。
同社はOEM事業の強みについて、「ナチュラル系の処方開発と独自に抽出したエキスを配合した化粧品の開発が他社にない特徴。引き続き、強みを生かし、多くのステークホルダーのプラスに供するよう努めて行きたい」としている。

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