口紅原料に微細藻類由来のアルケノンが有望
2020.01.15
国際部
口紅の構造剤としてのアルケノンを評価した論文が12月27日、「International Journal of Cosmetic Science」オンラインに掲載された。
天然、環境に優しい、持続可能な製品の著しい成長により、動物由来および石油由来の化粧品原料ワックスに代わる代替品が常に模索されている。この研究では、海洋の微細藻類が原料のワックスである長鎖ケトン(アルケノン)を口紅に配合し、構造剤としての評価を実施した。現在、口紅によく使用されている構造剤のマイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、およびカンデリラワックスの代替としてアルケノンを配合し、製品を比較した。比較用に以下の4種の製品を製造した:L1(対照品、アルケノン含有せず)、L2(オゾケライトの代替としてのアルケノン)、L3(微結晶ワックスの代替としてのアルケノン)、およびL4(カンデリラワックスの代替としてのアルケノン)。評価は硬度、剛性、硬さ、皮膚や布帛製品への移りやすさ(テクスチャアナライザーと消費者パネルを使用)、摩擦、融点、および安定性について行われた。
その結果、一般に、アルケノンを含む口紅(L2-L4)は、対照品(L1)と比較して柔らかく、曲がりやすかった。硬度では、L4が最も硬かった。L2とL3は、L1よりも皮膚と布地へ移りやすかった(ペイオフ)。アルケノンは摩擦にもプラスの影響を与え、L2-L4の平均摩擦は減少した。最も低い摩擦はL4で確認された。アルケノンで代替した製品は融点が低かった。L4は、柔軟さ、適度な堅さ、落ちにくさ、塗りやすさ、剥げにくさなどの望ましい属性があることがわかり、消費者は全体としてL4を最も好ましいとしていた。この研究の結果から、口紅の構造剤としてのアルケノンは持続可能、非動物性、非石油由来のワックスの選択肢足りうることがし示された。