「におい」を調節することで、体重管理ができるかもしれない
2014.02.18
国際部
「におい」は食欲とどのような関係があるかについての研究が、 2月9日の「Nature Neuroscience」誌に発表された。
フランスの国立保健医学研究所(INSERM)でGiovanni Marsicano氏が率いる研究チームは、体内の内因性カンナビノイド系が、嗅覚を通じて食物摂取量をどのように制御するかの解明に成功した。
人間を含む動物は、飢餓機構によって食物摂取の欲求が刺激されることが知られている。つまり、空腹が嗅覚などの感覚を刺激することで、食事を摂る行動を促すという一連のメカニズムの引き鉄となっている。研究チームは、このメカニズムが内因性カンナビノイドシステムで開始されることをマウスの実験で発見した。このシステムは、大麻などのカンナビノイド物質に敏感な脳内に位置しており、大麻吸引と同様の幸福感および不安や痛みなどの様々な感覚に関与する受容体を相互接続する。
内因性カンナビノイドは、大麻草の学名Cannabis sativaにちなんで名付けられた、体内で大麻様の働きをする物質。エネルギーの恒常性や摂食の重要な調節因子として知られ、摂食、代謝などのエネルギーバランスシステムに強力な影響力をもつ。このシステムが、食物の摂取による幸福感や快楽感などを高めることで摂食を調節していることから、内因性カンナビノイドシステムに影響する「におい」を調節することが、肥満または摂食障害のコントロールに役立つ期待ができるかもしれないと研究者らは述べている。