飲酒は睡眠を妨げる
2014.12.17
国際部
アルコール摂取は、実は睡眠恒常性を乱すという研究が12月11日、「Alcohol」オンライン版に掲載された。
睡眠は、疲れた脳を回復させるための「睡眠恒常性維持機構」と、夜眠くなって自然に眠りにつき、翌朝目覚めるという「体内時計機構」の2つの仕組みによって起こる。
今回、アメリカの医師Mahesh M. Thakkarらはマウスを使った実験を行い、大量のアルコールを飲酒させた後に、睡眠の中断を引き起こす睡眠恒常性の破壊が起こることを確認した。
アルコールは、「寝酒」のように、睡眠誘発物質として利用されることも多く、アルコールの摂取による体温の上昇などにより、一時的に眠気を誘う効果も持っている。しかし、起きている状態から眠りに入るまでの入眠潜時が短くなり、睡眠の前半時間にはノンレム睡眠の増大などが生じる。その結果、後半時間の睡眠が乱されてしまうという。
アルコール依存症まで進むと、深刻な不眠症、日中の過度の眠気など睡眠の乱れに苦しむことが知られている。アメリカ国内では、アルコール関連睡眠障害の社会的コストは180億ドル超えると推定されており、社会的な問題となっている。
日本でも睡眠障害は大きな問題であり、成人の約20人に1人が睡眠薬を服用しているという調査結果も出ているほど。仕事や勉強での睡眠不足、横になっても眠れない不眠症、日中に眠くなる過眠症などさまざまな睡眠障害のパターンがあるが、お酒には頼らない方が良いようだ。