皮膚バリア機能遺伝子の異常が食物アレルギーと関連
2017.04.12
国際部
皮膚バリア機能遺伝子が食物アレルギーと関連するという研究結果が4月4日、「Allergy」オンライン版に掲載された。
染色体 5q32上にある遺伝子SPINK5は皮膚の角化異常と毛髪の形成異常に関与することが分かっており、アトピー性皮膚炎との関連などが研究されている。今回の研究では、皮膚バリア機能にも関わるこの遺伝子の食物アレルギーと関わりがあるかどうかを調査した。食物アレルギーの標準検査法である経口食物負荷試験を用いて表現型を特定した12カ月児(発見コホート)722人(食物アレルギー367人、食物感作された199人、非食物アレルギーの対照者156人)において、SPINK5(~61kb)を含む~263kbにわたる領域内で、71個の「タグ」一塩基多型(tag-SNP)の遺伝子型解析を行った。
その結果、発見コホートでは、SPINK5多型rs9325071(A→G)が食物負荷試験で証明された食物アレルギーと関連していた(P=0.001、オッズ比[OR]=2.95、CI=1.49-5.83)。この関連は、追試(P=0.007、OR=1.58、CI=1.13-2.20)およびメタ解析(P=0.0004、OR=1.65)でも確認された。多型rs9325071は、公開済みの遺伝子型発現データにおいて、SPINK5遺伝子発現低下と関連することが示されている。この研究は、SPINK5多型rs9325071と食物負荷試験で証明されたIgE介在性食物アレルギーの関連を初めて報告したものとなった。