東京栄養士薬膳研究会、治未病に関する特別講演会を開催

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2017.09.25

編集部

東京栄養士薬膳研究会(代表・海老原英子氏)主催の第11回都民のための健康づくり特別講演会「治未病の対策~西洋医学と中医学からの検討~」が24日、東京都内で開催され、講師として招かれた埼玉医科大学かわごえクリニック院長の片山茂裕氏が「血糖・血圧の変動を考慮した質の高い血糖・血圧管理」、本草薬膳学院院長の辰巳洋氏が「血瘀証に対する薬膳の対応」と題してそれぞれ講演した。

前半に登壇した片山氏は、まず血糖の日内変動、季節間変動などの測定方法について紹介しつつ、日本糖尿病学会のガイドラインに基づくHbA1cのコントロール値については「若い人は7%未満、高齢者は8%未満を目標とする」(片山氏)と解説。ただし、例えばHbA1cが同じ7%でも、血糖値にスパイク変動がある人は注意が必要だと指摘し、血糖変動の質の違いに注目する必要性に言及した。

一方、血圧については、早朝の高血圧には注意が必要といい、「腎症、網膜症などの合併症リスクが高い」(片山氏)と指摘した。また、医師を前にして緊張して高くなる「白衣高血圧」と、診療室では高くないが家庭では高くなる「仮面高血圧」について紹介。「白衣高血圧はすぐに薬を服用する必要はないが、仮面高血圧は治療の対象になる」(同氏)と注意を促した。

後半は、辰巳氏が登壇。血流が緩慢となる状態を「血瘀」、血液が滞る状態を「瘀血」などといった血瘀証の基本的な概念を解説。血瘀状態の形成原因はさまざまあり、具体的に気虚、気滞、血熱、血寒、陰虚、痰飲、水湿、肥満、老化、怪我を挙げた。

また、各臓腑の血瘀状態について紹介。心は血脈をつかさどるので、血瘀・瘀血による病気は心にまず影響する。気血同行の理論から見ると、気滞により血流が停滞するし、気虚により血流が悪くなることもある。さらに、血の量が多すぎて心に負担がかかったり、少なすぎて血が濃くなって血瘀証に発展。このほか、血の質の変動によっても血瘀証になる。

次いで血瘀証に使われる食材などを紹介。活血作用のあるものとしては、チンゲン菜、ナス、レンコンなどがあるが、これらは「寒涼性の食材なので、生姜やネギなどを加えた湯通しをして温性を挙げる工夫が必要」(辰巳氏)と注意を促した。行気作用のある食材はらっきょう、紫蘇、みかん、ゆずなどを挙げた。

気虚による血瘀証もあるので、補気も必要。具体的には穀類、豆類、イモ類を摂ると良い。このほか、養陰作用のあるものとして小松菜、豚肉、鴨肉など、養血作用のあるものとしてニンジン、ほうれん草、落花生など、肥満体質の人向けにおススメの滲湿利尿作用はハトムギ、冬瓜など、化痰消食作用としては大根、かぶなどを紹介した。

このうち活血作用の材料について、紅花と蔵紅花の違いに言及。紅花は温性で「生理不順や生理痛にお茶として使える」(辰巳氏)。一方、蔵紅花は寒性で「更年期ののぼせなどに使い、生理痛などには使えない」(同氏)。また、姜黄が日本で言うところのウコンに相当し、「冷え性に使う」(同氏)のに対して、鬱金は中国のウコンで「男性の高血圧などに使う」(同氏)。薬膳を作る際には、こうした性質の違いに注意しなければならないと強調した。

参考リンク
東京栄養士薬膳研究会

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