【連載】大手化粧品会社の研究(53)再春館製薬所の会社研究 ~基礎化粧品ドモホルンが総売り上げの約90%占める~(上)

2018.10.3

特集

編集部

株式会社再春館製薬所(熊本県上益城郡)は1932年に漢方の製薬会社としてスタートし、1959年に法人化した。現在の事業は、基礎化粧品、医薬部外品等の開発・製造・販売。主力商品として基礎化粧品「ドモホルンリンクル」と生薬製剤「痛散湯」がある。
いずれも年齢を重ねて生じる肌の悩みや傷みを改善し、生き生きとした人生をサポートすることを狙いに開発した。これらは自然治癒力、自己回復力という漢方の理念に基づく商品でもある。

ドモンホルンリンクルは1974年に開発し、初の商品としてコラーゲン配合の「ドモンホルンリンクルクリーム」を市場に投入。発売から約40年以上たった現在でも、1つの化粧ブランドで勝負する企業は極めて珍しい存在といえる。

同社は、もともと漢方の製薬会社で、化粧品「ドモンホルンリンクル」も漢方の理念に基づいて開発した。
「一つひとつの肌悩みにこだわるのではなくて肌状態全体を捉え、肌が本来持っている力を引き出していこう」という考え方に基づく。また、3~4年に1回、原料、処方、容器などすべてを見直してリニューアルするため、顧客のリピート率が90%と高いのも特徴。
最近では、コラーゲンの変質にかかわる研究で、加齢に伴う肌悩みを加速させる「加齢加速タンパク」について熊本大学と共同研究を行い、不知火菊 のエキスが関与していることを突き止めた。
2015年には、その研究を反映した4品のリニューアルを実施。2016年には、洗顔の2品と泡パック、日中ケア用の「光対策 素肌ドレスクリーム」のリニューアル化を図った。

同社は、原料選びから処方開発、製造、梱包、発送まで製造・販売の一貫体制を取る。販売は通販主体で小売り、卸はしない。特に、販売手法については、不特定多数の顧客に売るのではなく、広告を見て興味を持った顧客が自らアプローチしてくれるのを待つ。社員は電話、ファクス、インターネット、はがきなどを通して直接顧客と会話しながら販売に繋げる。

同社は、販売についての考えとして「売りっぱなしにしない。顧客に心から満足していただき、末永くおつきあいすることが販売の基本」と説く。
現在、主力商品の「ドモホルンリンクル」の売上高は、総売上高(2018年3月期連結326億円)の約90%を占める。金額ベースで約270億円に上っている。化粧品通販の好調、タイなど海外事業の黒字化など堅実な売り上げをみせている。

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