【連載】大手化粧品会社の研究(53)再春館製薬所の会社研究 ~ユニバーサル、熊本大と連携し音声通話、新化粧品、漢方開発へ~
2018.10.5
編集部
再春館製薬所は、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社美容経済新聞社(東京都港区)との間で、今年8月に音声通話支援システムの共同開発契約を交わした。コールセンター(つむぎ商館=写真)に「聴こえやすく聴覚にやさしい音声対話システムを導入」することで、高齢者や難聴者等の音声対話を促進するのが狙い。早ければ今年11月頃にもコールセンターに音声対話システムを一部導入して運用テストを始める。
同契約は、ユニバーサル・サウンドデザインが開発した音声情報を高精細化し、脳が認識しやすい音を実現する「ソニックブレイン」技術を活用して、コールセンターで使用するマイク・イヤホンのハードや双方向タイプの聴こえやすく聴覚にやさしい対話支援システム等を新規開発する。
現在、グループ会社の再春館システムが運用・管理するコールセンターでは、社員約1000人が就業する。500回線の電話から発せられる会話は、1日に約7000件を超える状態。しかし、通信網やマイクなどの機器性能により周波数が限られ、高齢者や難聴者にとって電話が聞こえづらいケースが起きるなど社員にとってもストレスが発生していた。
そこで、全国の顧客と直接、コミュニケーションを重視するという観点から、現場で働く社員が電話でのコミュニケーションにストレスを感じることなく働ける環境を整えることや聴こえやすく聴覚にやさしい対話を実現することを目的に共同開発を決定した。
今年11月にもシステム開発にメドをつけてコールセンターに一部のシステムを導入して試験運用を始める予定。
また、熊本大学と漢方や化粧品開発を狙った共同開発に取り組んでいる。
熊本大学との共同プロジェクト(2017年)は、文部科学省の「地域科学技術実施拠点整備事業」に採択され、薬用植物の力を最大化するための栽培方法・栽培地の最適化をはじめ、化粧品・食品の機能性成分探索のための素材研究とその応用に至るプロセス最適化の研究を行う。
これまで同社は、熊本大学との共同研究で、加齢加速タンパクに関する皮膚科学研究と抑制生薬の発見によって、熱ショックタンパク質・ヒートショック プロテイン(HSP)やアンジオポエチン様因子などの皮膚老化に関して実用化に繋げている。
一連の熊本大学との産学連携によるオープンイノベーションの動きは、ドモホルンリンクル依存型の経営から脱却し、グループで新たな成長基盤を構築することを狙う。